「アスクル倉庫」が6日間にもわたる火災が起こった原因

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2017年に起こった「事務用品通販会社アスクル」の倉庫火災について、なぜ6日間にも渡る火災となってしまったのか。なぜ消火活動にこんなに時間がかかってしまったのか。

ここまで被害が蔓延してしまった原因を、倉庫の構造の観点から私なりに考察してみました。

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建築基準法による防火基準について

まず建築基準法のお話からしますと、建物の防火基準として防火区画というものを設けなければなりません。
これは建物をある一定の面積で区切る、いわゆる面積区画を設け、一部分に火災が発生しても被害はその一区画内に留めて延焼を防止する。といったものです。

面積区画では、主に防火壁を設置して区画分けをしており、面積は建物の構造によって規定が変わってきます。

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倉庫は用途上やむをえず面積区画が除外

しかし、アスクルのような不燃性の物品が保管されている倉庫は、大空間なスペースが必要となるため、やむをえず面積区画が除外となります。
(ただ、倉庫内にある事務室や階段などは防火区画に入ります)
また、ベルトコンベア等の連続した設備が設置された工場もやむをえず除外となるわけですが、アスクル倉庫はベルトコンベアを設置されているので、なおさら区画分けするのが困難ですね…。

引用:火災のアスクル倉庫、内部はこうなっていた:日経ビジネスオンライン © 2006-2017 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.

除外される用途には他にも、劇場や映画館、集会所、体育館、屋内プール、アリーナ、卸売場etc…
意外といっぱいあります。。
ですが、防火対策をしなくていい訳ではなく、防火壁を設置出来ない代わりに耐火建築物で造らないといけません。
また、スプリンクラー等の消火設備に関する基準についても、消防法の方で規定されています。
アスクル倉庫も、法定基準を満たしてスプリンクラーを設置していたそうです…。

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消火設備が追いつかない程の大量の物資

火災前の倉庫内はダンボールが積み上げられ、床一面いっぱいに物資が保管されていたようです。

引用:火災のアスクル倉庫、内部はこうなっていた:日経ビジネスオンライン © 2006-2017 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.

そのため想像以上に火が拡大し、設置されていたスプリンクラーだけでは追いつかない状況となります。
図面を見ていただくと、いかに物資が敷き詰められていたかが分かります。

1F平面図

2F平面図

3F平面図

引用:アスクル/物流センター火災で爆発、近隣6名が一時避難 LNEWS © logistics Partner inc. All Rights Reserved.

建物自体が耐火建築物とはいえ、防火壁などの延焼を抑えるものが設けられていないので、次々に燃え広がったものと考えられます。
また倉庫は窓が少なく、しかも面積が広く奥行きがあるため、消火活動に向かない構造なのです。
これを機会に建築基準法や消防法が見直されてくるかと思います。
やむをえず面積区画が除外される部分についてどうするか、消火設備をもっと増やすようにするのか、もしくは多くの窓を設けるようにするのか、今後の課題となることでしょう。


参考元:

アスクル/物流センター火災で爆発、近隣6名が一時避難 LNEWS
火災のアスクル倉庫、内部はこうなっていた:日経ビジネスオンライン
防火区画:面積区画総まとめ そういうことか建築基準法
アスクルの物流倉庫火災 「ロハコ」商品約3万種類が欠品に – ライブドアニュース

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