横浜市の保土ケ谷公園の中にある音楽ホールの「かながわアートホール」は、芸術的な美しさのあるデザインが施されており、美術関連雑誌に載るほどの建築です。これまで、神奈川県建築コンクール最優秀賞や日本建築学会関東支部賞などを受賞しています。
1992年4月に開館したこのホールは、神奈川フィルハーモニー管弦楽団の拠点であり、300人収容の音楽ホールの他、小規模なスタジオや、貴重な練習風景を見学出来るギャラリーなどもあり、年間5万人近い人が利用しています。
設計は国設計。江戸川区の中央図書館や川崎市の日本民家園本館などを手がけている事務所です。
今回はそんな、かながわアートホールの建築を紹介します。
外観
かながわアートホールの建物前面には噴水広場があり、この広場から見た景色は華やかさがあります。開演前の期待感や終演後の余韻を楽しめる「間」をデザインしており、音楽ホールにふさわしい外観となっています。
噴水広場を過ぎた場所には、中央の水場の両側には列柱が建ち、期待感の高まる風景になっています。
建物の正面部分も列柱になっており、ギリシャ建築を思い起こさせるようなデザインです。
建物の正面中央には池があり、エントランスには山型のガラス張りが施された綺麗な空間を作っています。
2020年10月~2021年3月に大規模改修が行われたのですが、その際、敷居が高いイメージがあったかながわアートホールを身近な存在にするべく「屋根いろ総選挙」が行われました。1992年の開館当時は鮮やかな緑だったのですが、雨風にさらされるうちにグレーがかった色に変色していったため、総選挙によって色を決め、新たに塗装する運びとなったのです。
緑・茶色・青・黒・グレーの5つの候補から選択する方式でしたが、結果、緑の屋根となりました。開館当時の姿に戻すことを希望する人が多かったのでしょう。
内観
内部は音楽ホールの他、見学ギャラリーやレストラン、展示コーナーや小規模スタジオなどがあります。
入口から入ってすぐのホワイエです。綺麗に磨かれた石造りの壁が清潔感があります。
ホワイエから外側を見た様子です。ガラス張りと池によって癒やしのある空間が作られています。
こちらは2階の展示コーナー。吹抜けに沿っているのでとても明るい空間であり、アーチ型の天井が洋風のやわらかな雰囲気を作っています。
2階の展示コーナーからホワイエを見た様子です。
高級感のある格式高いデザインです。
こちらはメインホール。300人収容のシューボックス型となっており、壁は木で作られています。ホールの壁は木で作ると、ちょうど良い残響になります。
客席とステージは可動式になっているのですが、客席は完全に後退・収納でき、ステージは前後3分割の昇降式なので、音楽専用ホールや社交ダンスなど多用途で利用する事が出来ます。また、客席の背後は見学ギャラリーになっており、神奈川フィルハーモニー管弦楽団の練習を見学出来ます。まさに音楽好きのためのホールです。
こちらは第1スタジオ。台形の天井が特徴的な部屋です。50人程度の小規模なコンサートをはじめ、リハーサルや練習の場所としても利用出来ます。
こちらはレストランのエコーナイン。お洒落で落ち着いた内装となっており、開演前や開演後に、公園の自然風景を眺めながら食事をすることが出来ます。
芸術的なデザインがなされた、かながわアートホールの建築。音楽を楽しむのと同時に、建築デザインを楽しんでいただくのも良いですね。
建築概要
設計 | 国設計 |
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延床面積 | 2,620㎡ |
階数 | 地上3階、地下1階 |
構造 | 鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造 |
工期 | 1989年〜1991年12月 |
ご利用案内・アクセス
開館時間 | 9:00~21:00 |
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休館日 | 年末年始(12/28~1/4) |
電話 | 045-341-7657 |
住所 | 神奈川県横浜市保土ケ谷区花見台4-2 |
アクセス | 相鉄線 星川駅 徒歩18分 相鉄線 和田町駅 徒歩18分 |
※2021年8月現在の情報です。最新の情報は、かながわアートホールの公式サイトでご確認下さい。
参考元:
・ヨコハマ・アートナビ
・かながわアートホール | 国設計
・かながわアートホール 選挙で屋根色決定へ | タウンニュース
・かながわアートホール(Vol.437) | 安川有里 公式サイト