「等々力球場」は公園と一体となった丘のような建築

01.現代建築
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川崎市の等々力緑地内に位置し、2020年(令和2年)10月にリニューアルオープンした「等々力球場」は、緑地の公園と一体となった丘のような球場となっています。

従来の球場は1967年(昭和42年)にオープンしましたが、施設の老朽化や収容人数のキャパオーバーなどの問題が出てきたため、リニューアルする運びとなりました。高校野球の予選や社会人野球を可能にするため、収容人数9,279人という、神奈川県内では最大規模の球場となりました。

今回はそんな等々力球場の建築を紹介します。

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神奈川県内では最大規模

等々力球場は2016年に工事着手後、土壌から有害物質などが発見されたこともあり、予定していた工期および事業費は約2倍になってしまいました。しかしながら、4年の歳月をかけて2020年にようやく完成しています。

やっとの想いで完成させた新しい球場は、両翼100m、センター122mあり、神奈川県内で最大規模の球場になります。

等々力球場グランド

従来の球場ではホームベースが北西側だったのですが、新しい球場では北東側に向きを変え、フライが上がったときも西日の眩しさに惑わされないよう、守備がしやすい向きになりました。

また、人工芝はプロ野球の球場でも使われているミズノ製のもの採用され、足への負担や太陽の照り返しが少ない芝となっています。

等々力球場グランド

バッターボックスの裏は記者室や役員室などの窓があり、窓から試合が観覧できるようになっています。そして窓ガラスは、太陽の光で見えない事態を防ぐため、およそ5度フィールド側に傾けて設置されています。

観客席は、内野側2階席に2,050人、内野側3階席に3,182人、内野側車椅子用スペース30人、外野側芝生席4,000人、外野側車椅子用スペース17人、合計で9,279人が収容可能であり、従来の球場のおよそ倍の収容人数となります。

等々力球場の外野側車椅子用スペース

こちらは外野側車椅子用スペース(黒フェンスの内側)。とても見晴らしの良いスペースです。

等々力球場の外野側芝生席

こちらは外野側芝生席。レジャーシートを敷いてくつろぎながら、試合を観覧出来そうなスペースです。

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公園と一体化した丘のような所

等々力球場外観

等々力球場の入口はレンガ張りのゲートとなっており、公園の風景とマッチしています。

等々力球場外観

等々力緑地の入口側には、インフォメーションセンターと、等々力老人いこいの家があります。等々力老人いこいの家はもともと、従来の球場近くにあったのですが、球場の建て替えに伴って、外野スタンド下に複合化されました。

等々力球場デッキとスコアボード裏面

インフォメーションセンター上のデッキです。デッキはこの部分だけフローリング風となっています。

画像奥に見えるのがスコアボードの裏面。等々力緑地入口に向いており、景観を意識して壁面緑化されています。上部には太陽光発電パネルが設置されており、省エネが意識されたスコアボードです。

等々力球場から見た公園風景

インフォメーションセンター上のデッキから見た風景です。まさに公園の丘から見渡したような風景です。

等々力球場の芝生の丘

外野席のフェンスの外側は遊歩道および芝生の丘となっており、フィールドを1周出来るようになっています。なので、球場内に入らなくても試合の雰囲気を感じられるので、閉鎖的にならずに周囲の公園と溶け込むような球場になっています。

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震災時の活動拠点としての役割も

等々力球場は、震災時の活動拠点としても想定されて建てられています。多摩川から近い位置にあるのですが、多摩川の氾濫や決壊を想定して床全体を高くしており、非常用発電機室など高い位置に設置されています。

等々力球場外観

また、フィールドの北側には消防車の出入口が設置されています。

等々力球場レフト側デッキ

こちらはレフト側のデッキなのですが、この下には防災備蓄倉庫が設けられています。

リニューアルして進化を遂げた等々力球場。川崎市の新たな名所となりうる施設なのではないかと思います。

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建築概要

設計川崎市まちづくり局施設整備部、山下設計
施工鹿島建設
建築面積約6,300.48㎡
階数地上3階
構造鉄筋コンクリート造、プレキャストコンクリート造、一部鉄骨造
工期2016年〜2020年
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アクセス

電話044-738-1521
住所神奈川県川崎市中原区等々力1-1
アクセス<電車>
 JR南武線 武蔵中原駅 徒歩15分
 東急東横・目黒線 新丸子駅 徒歩15分
<バス>
 武蔵小杉駅、武蔵溝ノ口駅、高津駅、武蔵中原駅、新丸子駅から、市営等々力グランド入口へのバスが出ています。
 市営等々力グランド入口 下車徒歩5分


参考元:

武蔵小杉ライフ 公式ブログ
等々力球場|けいひん設計
【さまざまな人々の野球の聖地に】約5年の歳月経て川崎・等々力球場がリニューアル | 建設通信新聞Digital

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