川崎大師のすぐ近くに位置する、スポーツ広場が多く入っている「大師公園」があり、公園内には「瀋秀園(しんしゅうえん)」という中国式の建築が建ち、庭園に入ると中国に訪れたかのような感覚になります。

庭園面積約4300㎡の瀋秀園は大師公園の一角にあり、1987年(昭和62年)に中国の瀋陽(しんよう)市と、川崎市との姉妹都市提携5周年を記念して作られました。園内の建物に使われている瑠璃瓦や木組、安置されている獅子像や太湖石(たいこせき)は、瀋陽市から寄贈されたものです。

秀湖(しゅうこ)を取り囲むように作られた瀋秀園の名前は、瀋陽のすばらしい景色を集めた庭園という意味があり、草木や池、滝や築山など四季折々の風景を楽しめられます。
今回はそんな大師公園の瀋秀園にある建築を紹介します。

瀋秀園には何がある?

こちらは、瀋秀園の入口となる垂花門(すいかもん)。入口の両側に安置された獅子像は、瀋陽市から寄贈されたものです。右側が雄獅子、左側が雌獅子です。

園内の建物には、明代、清代の皇帝や、親王邸などに用いられた瑠璃瓦(るりがわら。表面に釉薬を塗ってガラス質にした陶器の瓦)が、34種類、4万2558枚も使われています。様々な形に作られた瓦には、龍の絵や、ラーメンどんぶりにありそうな模様が彫刻されています。この瑠璃瓦も、瀋陽市から寄贈されたものです。

門の下にはこのように鳥類や植物が描かれた木組が見えます。梁にはまんべんなく模様が描かれ、派手好きな中国の性格が現れています。木組についても、瀋陽市から寄贈されたものとなります。

垂花門をくぐると太湖石(たいこせき)が置かれた広場に出ます。この石は中国の太湖という湖から切り出されたものであり、穴の多いのが特徴です。周りを塀で囲まれ、守られるように置かれています。

太湖石の先にあるのは知春亭(ちしゅんてい)。

知春亭からは、秀湖(しゅうこ)の周辺の自然風景を眺められます。上部の幾何学模様の装飾が、自然風景を額縁のように彩ります。

知春亭の天井を見上げてみると、春をテーマにした絵が描かれた梁が見られます。

知春亭からは環碧廊(かんぺきろう)と呼ばれる回廊が伸び、藕香榭(ぐうこうしゃ)という池に生えている蓮の花を観賞出来る建物に繋がります。藕香榭は入母屋造りの屋根であり、その他の方形屋根と比べると割と大きな建物となっています。

こちらが環碧廊の内部。両側には庭園風景が広がります。

藕香榭の木組には、夏をテーマにした絵が描かれています。夏らしく水色をベースにしており、涼しげな意匠となっています。

藕香榭だけではありませんが、斗拱(ときょう。柱上部の屋根を支える組物)部分の、肘木(ひじき)と呼ばれる部材にも雲のような絵が描かれていたりするので、見る者を楽しませてくれます。

藕香榭から見た秀湖の様子です。蓮は夏頃が見頃らしいです。

庭園内にある橋も、特徴的なデザインが施されています。

こちらは攬翠亭(らんすいてい)。六角形平面が特徴のこの建物は、築山の上に建っており、屋根の反りが強いため、なかなか貫禄があります。

攬翠亭は高い場所にあるので、このように庭園内を一望出来ます。

攬翠亭の天井にもまた、壮麗な装飾が施されています。

攬翠亭のすぐ横には滝が流れています。
中国の瀋陽市の素晴らしい風景が凝縮されたという瀋秀園。日本では滅多に見られないような中国風の風景が見られますので、興味のある方はぜひ。
ご利用案内・アクセス
開園時間 | 9:00~16:00 |
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休園日 | 月曜日(祝日の場合は翌日)、年末(12/29~31) |
入園料 | 無料 |
電話 | 044-276-0050 |
住所 | 神奈川県川崎市川崎区大師公園1 |
アクセス | <電車> 京急大師線 川崎大師駅または東門前駅 徒歩10分 <バス> 川崎駅東口から市営バス(川03、04、05系統) 台町 下車徒歩3分 |
※2021年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトでご確認下さい。

参考元: