「milet/Ordinary days」のMVロケ地の建築はどんなところ？

01.現代建築

2021.08.06

2021年7月14日にYoutubeにて公開された、miletの「Ordinary days」のミュージックビデオ（以下、MV）では、千葉市美術館のさや堂ホールがロケ地として使われており、格式の高い空間が印象的なMVとなっています。

1995年11月3日に美術館と中央区役所との複合施設として開館し、その25年後には中央区役所が別の場所に移転して、建物内全てを美術館として2020年7月に拡張リニューアルオープンしました。展示室だけではなく、アトリエや図書館、カフェやレストランも備えた美術館です。

設計は大谷幸夫（おおたにさちお）と、千葉市建設局・建築営繕課。大谷氏は東京大学工学部建築学科卒で、大学院時代は丹下健三研究室に所属していた建築家です。

今回はそんなmilet「Ordinary days」のMVに出てくる建築物を紹介します。

MVの内容と、建物の特徴
建築概要
ご利用案内・アクセス

MVの内容と、建物の特徴

まずは、milet「Ordinary days」のMVをご覧下さい。

milet「Ordinary days」Music Video – YouTube

千葉市美術館の地上1階にある、さや堂ホールで撮影が行われ、各所に植物が施されて壮麗な雰囲気となっています。

千葉市美術館は、1927年（昭和2年）竣工の旧川崎銀行千葉支店を、曳き家によって現在の美術館がある場所に移動させ、新しい建物で覆うさや堂方式にて建物ごと保存する形式で建てられました。銀行支店の旧建物は、1923年（大正12年）の関東大震災で焼失してしまったため、保存されている建物では耐震性・耐火性のある鉄筋コンクリート造が採用されました。

この保存された銀行の建物が、さや堂ホールとして再生されてコンサートなどに利用され、千葉市の指定有形文化財となっています。広さは、収容人数が200人、面積が421.47㎡（2階48.00㎡を含む）の規模になります。

ホール内には10本のイオニア式の列柱が建ち、柱脚には黒い大理石が使われ、壁には角形のピラスター（付柱）、天井には梁の下部分に渦形（うずまき）状のレリーフ（浮き彫り）があり、ルネサンス様式の格式高い空間となっています。このような意匠は、戦前の都市型銀行建築の特徴であるとの事です。

2階の回廊に使われているブロンズ製の手すりは、戦時中の金属の供出（きょうしゅつ。国などの要請によって物資をさし出すこと。）によって一度失われましたが、後ほど復元されました。また、壁にある角形のピラスターの柱頭装飾も復元されたものになります。

美術館の外観は、上部が階段状のシンメトリーなデザインとなっており、下部にはさや堂ホールの外観が見え、さや堂ホールの周囲を列柱が囲んでいます。ファサード（前面）の8本の列柱は、端から3本目までは等間隔ですが、出入口付近の中央の柱間隔を狭めており、貫禄のある外観となっています。また、外壁は花崗岩を使用しています。

階数は地下3階、地上12階建てとなりますが、建設当時は地下3階～地上5階が中央区役所、地上6階～12階が美術館でしたが、2020年7月に全ての階が美術館となりました。

戦禍をくぐり抜けてきた貴重な建物が、さや堂ホールとして大切に保存された千葉市美術館。miletさんのMVを鑑賞したことで、いつか訪れてみたい建築のひとつとなりました。

建築概要

設計	大谷幸夫（大谷研究室）、千葉市建設局・建築営繕課
敷地面積	2,572.4㎡
建築面積	1,859.7㎡
延床面積	17,548.9㎡
階数	地上12階、地下3階、塔屋1階
構造	地下3階：鉄筋コンクリート造地下1～2階：鉄骨鉄筋コンクリート造地上1～12階、塔屋：鉄骨造
工期	1991年〜1994年

ご利用案内・アクセス

開館時間	日～木：10:00～18:00（入館は17:30まで）金、土：10:00～20:00（入館は19:30まで）
休館日	毎月第1月曜日（祝日の場合は翌日休館）、年末年始（12/29～1/3）
入館料	＜企画展＞　展示会ごとに異なります。＜常設展＞　一般　：300円（240円）　大学生：220円（170円）　高学生以下、65歳以上：無料　※（）内は団体料金（30名以上）
電話	043-221-2311
住所	千葉県千葉市中央区中央3-10-8
アクセス	＜電車＞　千葉都市モノレール　葭川（よしかわ）公園駅　徒歩5分　京成線　千葉中央駅　徒歩10分　JR線　千葉駅　徒歩15分＜バス＞　千葉駅から京成バス（大学病院行または南矢作行）　中央3丁目または大和橋　下車徒歩3分