「アンスティチュ・フランセ東京」の建築の魅力

02.近代建築
スポンサーリンク

神楽坂にある日本とフランスの文化交流施設・語学学校の「アンスティチュ・フランセ東京」は、フランスらしい建築であり、日本とはまた違った雰囲気のある学校です。

設計は坂倉準三氏。フランス人建築家・ル・コルビュジエ氏の弟子であり、パリ万博の日本館や岡本太郎記念館などを手がけています。パリ万博の日本館は建築部門グランプリを受賞しており、坂倉氏は世界に認められた名建築家です。学生以外でも自由に入場出来るので、建築ファンには必見の施設になります。

1952年1月に東京日仏学院として開校し、2012年9月にアンスティチュ・フランセ東京に名称を変更しています。

今回はそんなアンスティチュ・フランセ東京の建築を紹介します。

スポンサーリンク

フランスを思い起こさせるデザイン

逢坂を上がると、バルコニーがせり出して特徴的な形の柱で支えられているアンスティチュ・フランセ東京が見えてきます。ただ、バルコニー外壁に書かれている名称は、旧名の東京日仏学院のままとなっています。

鉄筋コンクリート造の3階建であり、フランスを思い起こさせるデザインになっています。設計者の坂倉準三氏はフランスの専門学校で建築を学び、コルビュジエ氏の下で活動していたこともあり、こうようなデザインが生み出せられる建築家です。日本では見慣れないデザインですね。

入口付近に来ると、青や緑、赤といったフランスならではのカラフルな色彩が見えてきます。日本の学校は白一色のところが多いですが、この建物の場合は割と入りやすい雰囲気になっています。入口にショップがあることも、入りやすい要因ではありますが。

校内では鮮やかな色彩の他、壁や建具にアート作品が描かれています。16室ある教室の壁はそれぞれ異なるアートが描かれており、16人のフランス人アーティストが手がけています。

この学校建築の代表的な特徴といえば、この青いキノコ型の柱です。「シャンピニオンの柱」と呼ばれています。シャンピニオンとはフランス語でキノコという意味です。
このような形になったのは、地震に耐えられるよう考慮したのではないかと考えられていますが、この形の柱にした理由の記録が残っていないため、定かではありません。

理由は分からないものの、この特徴的な形をした柱が校内デザインにアクセントを付けており、学校の雰囲気を和らげています。

このような綺麗なステンドグラスも設置されていました。

壁面や建具のアートや、キノコ型の柱、鮮やかな色彩など、要所にフランスらしくお洒落なデザインが施されています。

スポンサーリンク

世界的に珍しい二重の螺旋階段

校舎の中央部分には2層式の螺旋階段があり、世界的にも珍しい造りになっています。

巻き貝のように階段が造られており、片方は生徒が使用するための階段、もう片方は学院長が居住スペースに行くための裏階段に分けられていたのではないかと言われています。

このような2層式の螺旋階段は、代表的な建築の中では、この校舎の他にフランスにあるシャンボール城のみとの事です。

上から見下げた様子です。完全な円形ではなく、おにぎり型のような形をしています。

天井から自然光を取り入れており、螺旋階段の塔の中を明るく照らします。

もうひとつの裏階段は表階段の真下になるので、側面から光を取り入れる形になっており、隠れ家に入っていくような感覚になります。

スポンサーリンク

繰り返される改築

1951年9月に開校したアンスティチュ・フランセ東京ですが、当初、教室、ホール、事務所、学院長の居住スペースを設ける計画でしたが、朝鮮戦争の影響で資材が不足し、ホールを断念してしまいました。

しかし、1961年には増築が実施され、ホールの建設が実現しました。
この時の設計も坂倉準三氏が担当し、ホール建設の他にも教室の数を増やす等も行われています。

また、1989~2001年には、ホールは映画専用館になり、図書館はメディアテークになっています。メディアテークとはフランス語でメディアを収める棚であり、その名のとおり、図書館やギャラリー、スタジオなど様々なメディアが集結した複合機能です。
この頃の設計は、建築設計事務所みかんぐみが手がけました。

こちらが、2021年5月現在の間取り。

さらに2021年夏頃には、藤本壮介氏の設計によって更に増築されます。藤本壮介氏は、SHIROIYAやユニクロ パークなどを手がけている建築家です。

この模型で、中庭の左側にあるのが既存の校舎、右側にあるのが藤本壮介氏の設計によって増築される校舎です。

アンスティチュ・フランセ東京によって、飯田橋・神楽坂周辺に多くのフランス人が暮らすようになった今、2021年の増築によって更なる変貌を遂げ、コロナ禍で国際交流が停滞しているものの、日本とフランスとの国際交流が将来的に進展し、今後のアンスティチュ・フランセ東京の変化に目が離せません。

スポンサーリンク

ご利用案内・アクセス

電話03-5206-2500
住所東京都新宿区市谷船河原町15
アクセスJR総武線 飯田橋駅 西口より徒歩7分
東京メトロ有楽町線・南北線・東西線 飯田橋駅 B3出口より徒歩7分
都営大江戸線 牛込神楽坂駅 A2出口より徒歩7分


参考元:

アンスティチュ・フランセ東京(旧東京日仏学院) 公式サイト
坂倉準三による名建築“旧東京日仏学院”。創立65周年を迎えた「アンスティチュ・フランセ東京」 | LIFULL HOME’S PRESS
・甲斐みのり「歩いて、食べる 東京のおいしい名建築さんぽ」,エクスナレッジ,2018年6月18日,137-142P

タイトルとURLをコピーしました