「小黒恵子童謡記念館」は自宅を改装して開かれた記念館

02.近代建築
スポンサーリンク

川崎市高津区の閑静な住宅街に、立派な門構えのある、たくさんの緑に囲まれたレトロな建物の「小黒恵子童謡記念館」があります。

小黒恵子氏は、「みんなのうた」でおなじみの童謡作家であり、ある世代以上は耳にしたことある歌の作詞をしている人物です。

もともと1879年に住居として建築されましたが、童謡の普及を目的として、自らの財産で自宅を改築し、1991年に記念館として開館されました。童謡文化に対する気持ちの強さがうかがえます。

今回はそんな小黒恵子童謡記念館を紹介します。

スポンサーリンク

自宅を改築して記念館へ

1879年に住居として建築された木造住宅を、後世までこの文化を残していきたいという思いから、1991年に童謡記念館として改築されたわけですが、小黒恵子氏が亡くなられた後、遺言により記念館は川崎市に遺贈され、耐震工事を実施後、2017年4月にリニューアルオープンしました。

耐震工事では建物の骨組をそのまま残し、耐震金物を用いて補強されました。築130年を超えた木造住宅で、1991年に改装されているだけあり、工事は難航していたそうです。

小黒恵子童謡記念館入口

敷地の入口には、瓦葺きの立派な門構えが建っています。その奥には記念館の建物や、数々の銅像などが見えます。

小黒恵子童謡記念館入口

記念館は、青銅の屋根に白漆喰の壁、入口はレンガ風の柱が両サイドに立っており、入りやすい雰囲気となっています。

小黒恵子童謡記念館入口

玄関には、植物が彫られた木製の扉が目を引きます。

小黒恵子童謡記念館内観

記念館に入ると、木造建築のレトロな雰囲気の1階ホールになります。
各部屋には、小黒恵子氏が作詞した曲名を愛称として付けられています。この1階ホールは「モンキーパズル」、2階記念館は「ニャニュニョのてんきよほう」、貸室は「シンデレラのスープ」、憩いの場は「ジャガイモジャガー」と「ラキュラのうた」といった感じです。モンキーパズルでは、コンサートや朗読会などのイベントが開催されます。

小黒恵子童謡記念館オルゴール

モンキーパズルには3台のオルゴールが置かれており、100年以上前の貴重なものとなります。今でも現役であり、視聴体験が出来ます。

一番右のオルゴールを聴かせていただいたところ、壮大で優雅な音色が館内に響き渡りました。中の大きい円盤を取り替えることで、演奏曲が変えられるそうです。

小黒恵子童謡記念館のピアノ

こちらのピアノは、同じモデルのものは日本に3台しかない貴重なものとなります。この木目調のテクスチャが、ホールの雰囲気とマッチしています。

小黒恵子童謡記念館の蓄音機

こちらは蓄音機。3台用意されており、調子が悪くても1台は動かせるようにしたようです。

小黒恵子童謡記念館の照明

モンキーパズルに設置された照明もお洒落なデザインで、ホールの雰囲気と合っています。

引用:小黒恵子童謡記念館 公式サイト | © 小黒恵子童謡記念館 All Rights Reserved.

2階の展示室には、小黒恵子氏の自筆の原稿などが展示されています。(2階は撮影禁止のため、画像をお借りしています。)

天井には、1879年に建築された当時の黒い梁が残されています。この小屋組を見ると、建築当時の匠の技を感じます。2階展示室は展示品の他に、この木組みも見どころだと思います。

小黒恵子童謡記念館のコレクション

小黒恵子氏は多趣味だったこともあり、人形や置物などの様々なコレクションが多数展示されています。

小黒恵子童謡記念館の牛の置物

コレクションの中にはこんな、全長約1.5mの牛の置物も。

スポンサーリンク

庭も見どころ満載

小黒恵子童謡記念館の庭

庭にも多数のコレクションが置かれており、また、樹齢400年超のケヤキなど、緑豊かな庭になっています。

小黒恵子童謡記念館の庭にある置物

様々な置物があり、いろんな物に興味を示していたことが分かります。

小黒恵子童謡記念館外観

側面(西側)から見た様子。下部には石のタイルが張られて洋風な仕上がりですが、上部の屋根付近は和風な仕上がりになっています。

小黒恵子童謡記念館の裏側入口

正面入口とは反対側にも入口があります。この扉や、扉の隣にあるアールヌーボー(草木を基調にしたデザイン)を思い起こさせる装飾によって、ここも洋風テイストに仕上がっています。

小黒恵子童謡記念館の庭にある置物
小黒恵子童謡記念館の石碑

裏庭の方にも、様々なコレクションが置かれているので、探してみると面白いです。

小黒恵子童謡記念館外観
小黒恵子童謡記念館の屋根

屋根の棟の部分には、鳥がとまっているような像が設置されています。一瞬、本物かと見間違えそうな感じです。

この美しい地球に生きる悦びと幸せを、そして緑の自然と生物への愛と平和の心を、童謡を通して伝えたいといった想いが込められた童謡記念館。是非とも足を運んでみてはいかがでしょう。

小黒恵子童謡記念館の庭
スポンサーリンク

建築概要

敷地面積1,639.66㎡
延床面積394.24㎡
階数地上2階
構造木造
竣工民家として建築:1879年
記念館へ改築:1991年
耐震工事・リニューアル:2017年
スポンサーリンク

ご利用案内・アクセス

開館時間10:00~17:00
休館日火、水、金、土(祝日の場合は開館)
年末年始(12月29日〜1月4日)
入館料大人:200円(1,000円)
小学生以上18歳以下:100円(500円)
※()内は年間パスポート料金
電話044‐767-9646
住所神奈川県川崎市高津区諏訪3-13-8
アクセス東急田園都市線 二子新地駅 東口より徒歩11分
東急田園都市線 高津駅 西口より徒歩13分

※2021年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトでご確認下さい。


参考元:

小黒恵子童謡記念館 | 童謡文化体験の場、地域の憩い・交流の場
小黒恵子童謡記念館をご存知でしょうか? | 八木工務店
小黒恵子童謡記念館の管理運営形態について | 平成27年度 市民委員会資料 | 川崎市ホームページ

タイトルとURLをコピーしました