「岡本太郎現代芸術賞展」の作品のあまりの凄さに戸惑いを隠せない

07.展示会レポート
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岡本太郎美術館にて毎年企画展示されている「岡本太郎現代芸術賞」
これはどんな展示会かと言うと、美術館の公式サイトを見てみると

時代に先駆けて、たえず新たな挑戦を続けてきた岡本太郎。岡本太郎現代芸術賞は、岡本の精神を継承し、自由な視点と発想で、現代社会に鋭いメッセージを突きつける作家を顕彰するべく設立されました。

引用:川崎市岡本太郎美術館 公式サイト

との事です。つまり、岡本太郎氏のようにべらぼうな作品を創り出す逸材を見つけ出そうといった企画となります。

以前にも、芸術について本気出して考えてきたアグレッシブな岡本太郎氏について記事にしてますので、こちらも参考にどうぞ。

ちなみに、この展示会は2017年時点で実に20回目を迎えました。
毎年、美術館に足を運んで展示会を見に行ってるのですが、目を奪われる物から、訳が分からないものまで、コンセプトが気になるものばかりです。
全部で499点もの応募がある中で厳正な審査をした結果、26作品が入選をはたし美術館に展示されました。
その中で、岡本太郎賞が1点、岡本敏子賞が1点、特別賞が3点が受賞作品となります。
来館者は展示された26作品を見て回り、気に入った作品に一票を投票できます。

今回はその第20回目の、2017年2月3日(金)~4月9日(日)にて開催された岡本太郎現代芸術賞の展示された入選作品を紹介します。

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入選作品を一部紹介

まずは太郎賞、敏子賞、特別賞以外の入選をはたした、気になった展示作品を一部紹介します。
499点のうちの上位26点ですから、受賞した作品以外もやはり目を惹くものばかりです。

入選

Myself

椅子の周りに陶板の破片のようなものが散りばめられ、映像や音響により空間を構成した作品。
映像には風景や細胞などを映し、スピーカーから陶板どうしがガシャガシャとぶつかり合うようなサウンドを流しています。

これは作者自身を表したものだそう。
散りばめられた陶板は、作者の痛みや悲しみの中にもわずかな希望がある一日一日を表しています。
これは嫌な事があった時に陶器を割ってしまうかのように、波乱な人生を送って来ていると感じ取れる作品となっています。

人生はひまつぶし

人生はひまつぶしと言うと悲観的であるかのようだが、ひまつぶしと考えれば肩の力が抜けて、楽しく生きられる。と言った考えのもと、作成された作品です。
水槽の中の泡は小さな悩み事を表しており、浮かんでは消え、また浮かんでは消えて行く。

作品の映像を見ると、水槽の魚はゆったりと我が道を歩くように優雅に泳いでおり、楽しそうな人生を送っているように見えますが、水槽が緑に汚れてきたり、子供が手を突っ込んだりして、魚も意外と大変である事に気付きます。

枯山水 南の島

掛け軸や枯山水、富士山が設置されており、全体的に和の雰囲気があるこの作品。

引用:第20回 岡本太郎現代芸術賞展 パンフレット

遠い南の島に思いを馳せて、島の風景を枯山水で表現しています。

そしてその近くに、富士山の周りを桜が囲っているジオラマを置いています。
ミニチュアにすることで、現在の日本のような頼りなさを体現しているとの事です。

掛け軸もかけられていて、そこには南の島が描かれているのですが、この絵を良く見ると…

なんとコンビニが3件も。
しかしこんな所にお客さんは来るのでしょうか。。
日本の和の文化に、随所に現代的なものを取り入れている所が面白い作品です。

360

引用:第20回 岡本太郎現代芸術賞展 パンフレット

こちらの大砲のような作品は、右に自転車のサドルとペダルのようなものがあり、それに乗って漕いでいくと、作品が360°回転していきます。
漕いでいる人からの視点はこんな感じ。

中は万華鏡のようになっており、周りにある作品や展示室全体を新たな視点で鑑賞するものとなっています。
なかなか大きい作品であり、他の作品も取り巻くべらぼうな作品だと思っています。

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特別賞、岡本敏子賞を受賞した作品

続いては3点の特別賞と、1点の岡本敏子賞を獲得した作品です。
岡本太郎氏の奥さんである敏子氏が選んだのは、はたして。(もうお亡くなりなので選んではないですが)

特別賞

salamander[F1]

両生類が陸に上がり人類へと進化してから、目覚ましいスピードで文明が発達しており、それを体現するかのような作品です。

引用:第20回 岡本太郎現代芸術賞展 パンフレット

地球が誕生してから現在までを1年で表すと、人類が誕生したのが12月31日の午前7時頃。
いかに人類の文明発達のスピードが早いかが分かります。
F1のマシンのように、文明が高速で駆け抜けて行く様を表現しています。

One Day

大震災を題材にして、瓦礫の海をあさるカラスの群れを描いた作品。
作者はもともと「人間がどんなに苦しもうと神様は助けない」という非情な表現で制作しようとしてたが、作品の構想を考えていた時期に大切な友人を亡くした事をきっかけに、生命の循環をコンセプトに制作をしたそうです。

引用:第20回 岡本太郎現代芸術賞展 パンフレット

一度、全てが亡くなったとしても、またいつか再生される。
そういった希望を込めたメッセージを残すために作成されたものと思います。

引用:第20回 岡本太郎現代芸術賞展 パンフレット

BE GOD.

描かれているのは最後の晩餐以前の、いつかの食事だそう。
この時点では裏切り者がいない、とても華やかに描かれています。

引用:第20回 岡本太郎現代芸術賞展 パンフレット

この食事をしていた頃は、裏切り者が出るとは思っていなかったのだろうか、絵画やテーブル上の食事を見ると、どこか浮かれているように見えます。

岡本敏子賞

Cycling

岡本敏子賞に選ばれたこの作品は、それぞれの動物の糞を再利用し、漆でコーティングしています。

引用:第20回 岡本太郎現代芸術賞展 パンフレット

排泄物は生き物が生きた証を表しているというコンセプトで作成されています。

崩れやすい素材をこのように上手く形成できるとは、なかなか器用だと思います。

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気になる岡本太郎賞の作品は

最後に岡本太郎賞に選ばれた作品です。
岡本太郎氏に選ばれた作品は、はたして。(もうお亡くなり(ry)

岡本太郎賞

Miss lle のみた風景

見事、岡本太郎賞に選ばれたのはこの作品。

引用:第20回 岡本太郎現代芸術賞展 パンフレット

ガラス壁面には砂糖によるドローイングがされており、展示床面には角砂糖で表現された街があります。これは美術館を訪れた来館者がこの空間に入り、角砂糖によって街を形成する、観客と共に作られる作品となっています。

街並みは多くの建築家の発想が集結して作られており、それを表現するかのように、様々なセンスを持った観客が角砂糖を積み上げる事によって建物を作り、小さな街並みを形成しています。
観客と共に作品を作るといった発想が面白いと思い、私は一票をこの作品に投じました。

有名アーティストだけでなく、こうして駆け出しのアーティストの作品を見るのも面白いですね。
そしてこの中から、将来名の知れた芸術家が現れる事でしょう。


参考元:

川崎市岡本太郎美術館
・第20回 岡本太郎現代芸術賞展 パンフレット

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