「サニーヒルズ」は地獄のようなインパクトを与える建築

01.現代建築
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南青山の住宅街に、一際目立つインパクトのある建物があります。
「サニーヒルズ」というパイナップルケーキの専門店です。

この建築を手掛けたのは、新国立競技場などでおなじみ、隈研吾氏が設計しました。

サニーヒルズは台湾のパイナップルケーキブランドであり、創業者は許銘仁(マイケル)氏です。
台湾で貧困な暮らしをしていたパイナップル農家を支援するため、パイナップルを使ったお菓子を開発し、一流ブランドとなることを目指して、南青山に出店しました。

今回はそんなサニーヒルズを建築視点でご案内します。

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インパクトのある外観

初見ではかなりのインパクトを与える外観ですが、これはパイナップルをイメージして作られました。
バルコニーに設置されている観葉植物のおかげで、よりパイナップル感が出ている気がします。

サニーヒルズ正面外観

外観の木組みは「地獄組み」と呼ばれる組み方であり、釘を使わずに組み立てられました。
熟練の職人によって組み立てられたこの木組みは、装飾でもあり、各階の床を支える構造体でもあります。

隈研吾氏はパラパラと組んだ感じを表現したく、このような一度見たら忘れられないような外観となりました。
複雑に絡み合ってますが、よく見ると一定の法則に従って組み込まれています。

また、夜は行灯(あんどん)のように光がこぼれます。

引用:サニーヒルズ南青山 | 建築作品集 | 株式会社佐藤秀 © SATOHIDE CORPORATION All rights reserved.

隈研吾氏は、自筆した「負ける建築」にあるように、主張し過ぎず、自然に溶け込むことをコンセプトに建築を作っており、サニーヒルズも例外ではありません。

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自然の中に入ったような内装

店内は木組みに囲まれており、森のような空間を演出していて落ち着いた雰囲気です。
木漏れ日が入り、まるで自然の中に溶け込んだような感覚です。
この木組みは、岐阜県産の東濃檜を使用しています。

建物の北西部分はガラス張りで、木組みに覆われている様子をうかがう事が出来ます。そのため、中からは地獄組みを間近で見ることが出来ます。

内部の建具や間仕切り、天井などは、地獄組みをモチーフとしたデザインにしています。

地下1階、地上2階建てであり、入り口および受付は、地下1階となります。
斜面の土地に建っているため、見る方向によっては3階建てに見えます。

南青山のサニーヒルズが建っている地域は、建築基準法の規制によって準防火地域となっており、3階以上が建てられません。(3階以上にするには、燃えにくい素材での準耐火構造としなければならない。)
そこで、地下1階、地上2階建てという構造にしています。

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地獄組みが強い構造を作り出す

一度組んだら、二度と外れないことから、「地獄組み」と名付けられました。

地獄組みの部材の断面寸法は60mm×60mmと細いのですが、立体的な組み方をする事で強くなります。これを、釘や接着剤を使わず組んでいます。

通常は障子などの建具や、家具に用いられる技術であり、建築に使われるのは異例との事です。
今まで多くの建築物を見てきましたが、確かに他に地獄組みが使われてる建築物は見たことが無いですね。

地獄組みで床や屋根を支えるわけですが、垂直に立つ柱は無く、組み方が複雑であるが故に、構造計算も複雑です。
構造材として成り立つのか、また実際に施工可能なのかを検証するのに半年かかったようです。
ただ、部材が全て斜めに立っているため、筋交いのような役割を果たし、どの方向から力を受けても耐えられそうな感じがします。

地獄組みの組み方は、この動画が分かりやすいかと思います。

ちなみに、使った木材は60㎡、直線状に繋げると実に約5㎞にもなります。
4ヵ月もの工期をかけて作られました。

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パイナップルケーキの試食サービスを受けられる

サニーヒルズでは、1個あたり300円のパイナップルケーキを、なんと無料で試食サービスを受けられます。

引用:Amazon 台湾茶工房さん

地下1Fは受付、地上1Fは試食スペース、地上2Fは商品の展示などがされています。
まず、地下1Fの入り口近くに受付があり、受付後、地上1階の試食スペースへ案内されます。
試食スペースにて、パイナップルケーキと台湾茶が振る舞われます。

主にお客様が過ごす受付や試食スペースなどは、地獄組みで覆われており、思う存分鑑賞できます。無料でここまでの試食サービスと、サニーヒルズの建築を楽しめるとは、なんて贅沢なのでしょう。

受付でパイナップルケーキが販売されていますので、家でゆっくりまたケーキの味を楽しむのも良いでしょう。

地獄組みを建築物の構造材として使用した例は滅多に無く、貴重な建築物です。
木組みをじっくり観賞出来るため、建築ファンは一見の価値ありです。

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建築概要

設計建築:隈研吾建築都市設計事務所
構造:佐藤淳構造設計事務所
設備:環境エンジニアリング
施工建築:佐藤秀
空調・衛生:三栄設備工業
電気:国興システムズ
木工事:翠豊
敷地面積175.69㎡
建築面積102.36㎡
延床面積293.00㎡
最高高さ8.82m
軒高9.693m
階数地下1階、地上2階
構造鉄筋コンクリート造(一部木造)
工期設計:2012年1月~10月
施工:2012年11月~13年12月
開業日2013年12月21日
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ご利用案内・アクセス

営業時間11:00~19:00
電話03-3408-7778
住所東京都港区南青山3-10-20
アクセス東京メトロ 表参道駅 徒歩5分

※2020年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトでご確認下さい。


参考元:

サニーヒルズ|微熱山丘 SunnyHills
パイナップルケーキが人気!表参道「サニーヒルズ」は建築も話題! | icotto(イコット)
サニーヒルズ南青山 | 建築作品集 | 株式会社佐藤秀
Sunny Hills Japan — サニーヒルズジャパン | Architecture | Kengo Kuma and Associates
青山に森を パイナップルケーキのサニーヒルズ南青山 | 月刊「事業構想」2018年12月号
サニーヒルズGM日記: 地獄組について
南青山3丁目のサニーヒルズで遭遇した「天国と地獄」
SunnyHills at Minami-Aoyama(サニーヒルズ南青山) | 日経 xTECH(クロステック)
地獄組(じごくぐみ)=ねじぐみ – YouTube
【空間デザインインタビュー】隈 研吾/サニーヒルズ南青山について語る – YouTube

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