ドラマ「半沢直樹」に出てくる東京中央銀行のロケ地はどんなところ?

04.ドラマの建築
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東京中央銀行のバンカーである「半沢直樹」が、銀行で行われていた不正を次々と明かにし、相手を「倍返し」していくドラマ内容が人気をはくし、2013年に放送された第1シーズンの最終回が、42.2%という驚異的な視聴率をたたき出しました。
そんな半沢直樹の続編が2020年に放送され、再び話題沸騰となっています。

今回はドラマに出てくる東京中央銀行のロケ地は、外観、エントランス、会議室、廊下、それぞれ違う場所で撮影されました。そのロケ地で使われた場所が、どんな所なのかを建築目線で紹介していきたいと思います。

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外観

半沢直樹_東京中央銀行の外観

ロケ地の建物

東京中央銀行の外観の撮影に使われている建物は「三井本館」となります。西洋の様式を取り入れた外観となっています。

半沢直樹_東京中央銀行の外観

もともとは三井住友信託銀行の文字が施されていますが、ドラマでは同じ場所に東京中央銀行の文字が付けられています。
また、ドラマでは上部にガラス張りの超高層ビルが建っていますが、あれは合成となります。

このビルは三井住友銀行、三井住友信託銀行の他、同じ三井財閥の旧三井物産、三井鉱山などの本社機能を集中させるために建てられた複合ビルとなります。

三井本館のコンセプトは壮麗品位簡素。この3つのコンセプトを元に、三井本館は建てられました。

半沢直樹_東京中央銀行の外観

三井本館が建てられた当時は、西洋の様式デザインが流行していた時代であり、三井本館もまた、古代ギリシャ様式および古代ローマ様式のデザインを引用した建築です。
古代ギリシャ・ローマ様式を採用した理由としては、不動の美しさを持つデザインが周辺の街と調和すると言うこと、また不動の美しさが金融業らしさを最も表現するものと考えられたからです。

半沢直樹_東京中央銀行の外観

こちらは、東京中央銀行の文字が付けられた面の反対側から見た三井本館です。周辺には日本銀行や三越といった格式のある建物が軒を連ね、周囲の建物と調和を図っています。

道路に接する3面をコリント式オーダーが取り巻いています。(もう一面は日本橋三井タワーと隣接。)
コリント式とは、細い丸柱に頭頂部にはアカンサスの葉を模した装飾が設えられているのが特徴で、ローマのパンテオンもコリント式です。
オーダーとは、ある一定の規則に沿って間隔を開けながら並んだ柱のように、秩序体系を表しています。

半沢直樹_東京中央銀行の外観装飾

東京中央銀行の会議室として使われた部屋にも、アカンサスの葉の装飾があしらわれており、西洋建築で最も一般的に使用された装飾です。

三井本館は、構造としては鉄骨鉄筋コンクリート構造であり、外観に並ぶ列柱は強度を負担する構造体ではなく、装飾用の付け柱(ピラスター)となっています。花崗岩で仕上げられ、溝や装飾が彫り込まれた巨大な石の彫刻となります。

半沢直樹_東京中央銀行の外観装飾

近づいてみると柱の巨大さがよく分かります。直径1mほどはありますでしょうか。この柱の高さは各層の階を貫いて約12mにもなります。

半沢直樹_東京中央銀行の外観

また、両脇2本を角柱にするのは、三井本館独自のデザインとされています。そして柱の間にある縦長の窓は、西洋風の建築の開口部の特徴となります。

重圧感を軽減して安定感を持たせるため、上部は過度な装飾は施さず、少しだけセットバックさせてバランスを整えています。

半沢直樹_東京中央銀行の外観装飾

上部にはこのように、楕円形のレリーフが東・西・南の3方向に4つずつ、合計12種類が施されており、三井財閥の各業種の精神を表しています。
道路に面する3面にレリーフが配置されているのも、やはり周囲の街並みとの調和を取るためです。

半沢直樹_東京中央銀行の外観

西洋風の建築が建ち並ぶこの場所は、まるで海外にいるかのような風景を作り出しています。

三井本館の竣工は1929年ですが、計画がスタートしたのは1923年です。
この年に発生した関東大震災によって旧本館が被災し、復興の模範を示すべく、建て替えがされました。関東大震災の2倍の地震が来ても壊れない強度を目指し、耐震・耐火の対策がされたのです。まさに倍返しです。
設計、施工ともにアメリカの企業が手がけましたが、当時のアメリカの施工技術は、世界の中でも一目置かれていました。

建築費は当時の一般的なビルの約10倍の費用となります。これだけの費用をかけ耐震・耐火技術を施して強固な本館が建設され、日本の建設業界に多大な影響を与えました。
1998年には国の重要文化財の指定を受け、建築界だけでなく世の中に認められた建築となります。

ロケ地の建築概要

名称三井本館
設計トローブリッジ&リヴィングストン事務所
施工ジェームス・スチュワート社
敷地面積5,610㎡
建築面積4,559㎡
延床面積31,660㎡
階数地上7階、地下2階
構造鉄骨鉄筋コンクリート造
工期1926年6月24日〜1929年3月23日

ロケ地のご利用案内・アクセス

住所東京都中央区日本橋室町2-1-1
アクセス東京メトロ銀座線・半蔵門線 三越前駅 A7・A8出口直結
東京メトロ東西線 日本橋駅 徒歩7分
都営浅草線 日本橋駅 徒歩10分
東京メトロ丸の内線 大手町駅 徒歩11分
JR総武線 新日本橋駅 徒歩3分
JR山手線 神田駅 徒歩7分
JR山手線 東京駅 徒歩12分

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エントランス

半沢直樹_東京中央銀行の入口

ロケ地の建物

東京中央銀行のエントランスとして使われている建物は「東京国立博物館 本館」となります。博物館のエントランスが撮影で使われました。

半沢直樹_東京中央銀行の入口

外観はこのような帝冠様式となります。
帝冠様式とは、鉄筋コンクリート造の洋風建築に瓦屋根をのせたデザインです。

博物館 本館では、日本の国宝や重要文化財などの美術品や歴史資料などが展示されています。2階は縄文時代から江戸時代まで時代ごとに展示が分けられており、1階は彫刻、陶磁、刀剣、絵画、漆工など、分野別に展示されています。

半沢直樹_東京中央銀行の入口

入口を入ると、撮影に使われたエントランスがすぐに見えます。エントランスの東京中央銀行のロゴが設置されている場所は、普段は華やかな装飾がされた時計が設置されています。
大理石で出来た階段と手すり、そして大空間なエントランスの数カ所に格式の高い照明が設置されており、明る過ぎない感じがより重厚感を増しています。踊り場にある扉も黄金で作られており、空間の形成に一役買っています。

半沢直樹_東京中央銀行の入口

照明には手の込んだ装飾がされており、格の高さを感じます。

半沢直樹_東京中央銀行の入口

エントランスを横から見た様子です。薄暗い館内ですが、縦長の窓によって部分的に踊り場が明るくなっています。
横から見た様子もどこかしら威厳があり、大和田の「お・し・ま・い・death!」の声が聞こえて来そうです。

半沢直樹_東京中央銀行の入口

大理石の階段の手すりには鋳物の装飾がはめこまれており、より威厳のある空間が出来上がっています。

半沢直樹_東京中央銀行の入口
半沢直樹_東京中央銀行の入口

エントランスの天井はこのように格天井になっており、格天井の一部は採光屋根となっています。寺院などではよく格天井が見られます。

半沢直樹_東京中央銀行の入口

踊り場から入口を見下げた様子です。

ちなみに、現在の本館は2代目になります。初代はジョサイア・コンドル氏設計による赤レンガ造の博物館が1881年に竣工しましたが、1923年の関東大震災で被災してしまいました。
その後、1938年に渡辺仁氏による設計にて、現在の帝冠様式の博物館が竣工しました。本館は日本趣味を基調とする東洋式という設計案で公募され、渡辺仁の案が選ばれました。

2001年には、博物館本館は重要文化財に指定されています。

東京国立博物館 本館の建築は、ドラマに出てきた箇所以外に見どころ満載です。別記事でも紹介させていただきましたので、是非ともご覧下さい。

ロケ地の建築概要

名称東京国立博物館 本館
設計渡辺仁、宮内省内匠寮
施工大林組
建築面積6,602㎡
延床面積22,416㎡
階数地上2階、地下1階
構造鉄骨鉄筋コンクリート造
竣工1937年11月

ロケ地のご利用案内・アクセス

開館時間9:30~17:00(入館は16:30まで)
無料観覧日国際博物館の日(5月18日)※月曜の場合は翌日
敬老の日(9月第3月曜日)
文化の日(11月3日)
休館日月曜日(祝日の場合は翌平日に休館)、年末年始
その他休館あり。詳細は公式サイトをご覧下さい。
入館料大人   :1,000円
大学生  :500円
高学生以下:無料
※特別展の場合は別料金となります。詳細は公式サイトをご覧下さい。
電話利用案内や展示・催し物に関するお問い合わせ:050-5541-8600
その他のお問い合わせ:03-3822-1111
住所東京都台東区上野公園13-9
アクセスJR線 上野駅 公園口より徒歩10分
JR線 鶯谷駅 南口より徒歩10分
東京メトロ銀座線・日比谷線 上野駅 徒歩15分
東京メトロ千代田線 根津駅 徒歩15分
京成電鉄 京成上野駅 徒歩15分

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会議室・廊下

半沢直樹_東京中央銀行の会議室
半沢直樹_東京中央銀行の会議室

ロケ地の建物

東京中央銀行の会議室および廊下として使われている建物は「学士会館」です。学士会館の1階廊下および201号室、201号室ロビーが撮影で使われました。

普段は、会合や宴会、結婚式などで使われる施設となります。

半沢直樹_東京中央銀行の会議室・廊下

学士会館の外観です。白山通り側に出ている4階建てのスクラッチタイルをまとった壁色の濃い部分が、1928年に竣工した高橋貞太郎氏設計の旧館であり、後方の5階建ての明るいタイルをまとった壁色の薄い部分が、1937年に増築した藤村朗氏設計の新館です。
半沢直樹で使われた廊下および会議室があるのは、旧館の部分になります。

半沢直樹_東京中央銀行の廊下
半沢直樹_東京中央銀行の廊下

撮影で使われた1階廊下です。レンガ風タイルの壁に、赤い絨毯が敷かれた廊下は、高級感あふれる空間となっています。
また、廊下の各所にある暖炉や観葉植物によって、味のある空間となっています。

半沢直樹_東京中央銀行の廊下
半沢直樹_東京中央銀行の廊下

トイレの出入口や階段の壁など、ちょっとした装飾がされていてお洒落な雰囲気を作り出しています。

半沢直樹_東京中央銀行の会議室

こちらは、201号室の前室となるロビーです。前室の時点から既に会議室のような、装飾にこだわった空間となっています。
このロビーでも撮影でよく使われ、伊佐山の「詫びろ詫びろ詫びろ詫びろ詫びろ半沢ー!!」という声が聞こえて来そうです。

半沢直樹_東京中央銀行の会議室

壁の黒い板は腰羽目板といい、これを高い位置まで張られています。また、天井は石膏で作られた格天井となっています。この腰羽目板と格天井によって、格式の高い空間を形成しています。
2階は御客用として考えられていたため、格式を重視して設計されたそうです。
ちなみに上の画像の左側の扉は、201号室への入口となります。

半沢直樹_東京中央銀行の会議室

こちらが会議室として撮影された201号室です。いつもは会合や宴会、結婚式の披露宴などで使われます。
半沢直樹の第1シーズンで大和田常務がこの部屋で土下座をしたことから、巷では「土下座部屋」と言われています。

201号室は、学士会館の中で建設当時の姿をよく残している部屋となります。
柱のない大空間を作るために、両サイドの柱はH型鋼で頑丈に作り、上の階からの荷重を支えています。
大窓から明るい日差しが入って部屋を明るく照らし、窓の反対側の4つの扉は配膳室につながっておりスムーズな給仕が可能となります。まさに宴会や披露宴に最適な空間となります。

半沢直樹_東京中央銀行の会議室

こちらは部屋の奥に付けられた、オーケストラ用のバルコニーとなります。

半沢直樹_東京中央銀行の会議室

天井隅の装飾は「持ち送り」という、石膏で作られたアカンサスの葉を模した装飾です。

東京中央銀行の外観として使われた三井本館にも、アカンサスの葉の装飾があしらわれており、西洋建築で最も一般的に使用された装飾です。

半沢直樹_東京中央銀行の会議室

このワイングラスを並べたようなデザインのシャンデリアも、豪勢な空間を作り出すパーツになっています。

是非このような格式の高い話題の場所で、宴会を開いてみてはいかがでしょうか。

学士会館の建築は、ドラマに出てきた箇所以外に見どころ満載です。別記事でも紹介させていただきましたので、是非ともご覧下さい。

ロケ地の建築概要

名称学士会館
設計旧館:高橋貞太郎(設計)、佐野利器(監修)
新館:藤村朗
施工旧館:戸田組
新館:銭高組
敷地面積3,399.99㎡
建築面積1,839.30㎡
延床面積9,337.47㎡
階数地上5階、地下1階、塔屋2階
構造鉄骨鉄筋コンクリート造
工期旧館:1926年6月〜1928年4月
新館:1936年4月〜1937年9月

ロケ地のご利用案内・アクセス

電話03-3292-5936(代表)
住所東京都千代田区神田錦町3-28
アクセス都営三田線・新宿線 神保町駅 A9出口から徒歩1分
東京メトロ半蔵門線 神保町駅 A9出口から徒歩1分
東京メトロ東西線 竹橋駅 3A出口から徒歩5分
JR中央線・総武線 御茶ノ水駅 御茶ノ水橋口から徒歩15分


参考元:

日曜劇場『半沢直樹』|TBSテレビ
半沢直樹 ロケ地ガイド
三井本館 – Wikipedia
東京国立博物館 – トーハク
東京国立博物館本館(昭和モダン建築探訪) : 関根要太郎研究室@はこだて
国立文化財機構 公式サイト
学士会館 公式サイト
・学士会館 建築物語パンフレット

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