「玉川高島屋S・C」は自然と共存した建築

01.現代建築
スポンサーリンク

二子玉川駅西側の国道246号線沿いに、ショッピングセンター「玉川高島屋S・C」があり、緑がふんだんに施された印象的な外観となっています。

玉川高島屋S・Cは9つもの建物で構成されていますが、その中には、隈研吾氏がデザインした本館のファサード(前面外観)やマロニエコート永山祐子氏がデザインした1F中央吹抜け部分のグランパティオ、3Fのルーフバルコニーにあるローズガーデンなど、見どころある建築となっています。

今回はそんな玉川高島屋S・Cの建築の見どころを紹介します。

スポンサーリンク

本館 ファサード

玉川高島屋S・C本館ファサード

本館ファサードは、玉川高島屋の開業40周年を記念して、2010年6月に隈研吾氏の設計によってファサード改修が実施されました。本館の建物から前面道路までの間をデザインするプロジェクトになります。

本館には出入口がいくつもあったり、外部から建物の2~3Fへ直接アクセスすることが出来たりするのですが、二子玉川駅から高島屋に向かう人と、前面道路にあるバス停の利用者との導線が上手く分けられています。

玉川高島屋S・C本館ファサードのアーケード

1.5mm厚の白いアルミ板にて印象的なデザインのアーケードが作られ、アルミ板の垂れ下がった部分にプラントボックスが配されており、その周囲にベンチが作られています。アルミ板で作られたアーケードの下を通って建物に入っていく人々の導線と、アーケードの外側を歩いてバス停や別の目的地へ歩いていく人々の導線とが分けられています。

玉川高島屋S・C本館ファサードのアーケード

外部から直接2Fまたは3Fローズガーデンへアクセスする部分です。エスカレーターにて簡単にアクセス出来ます。

前面を覆う約200枚あるアルミ板はひとつひとつ形が違い、これを細い鉄骨で作られた支持材でつないで有機的形態を持たせることを狙いとしています。このアルミ板には、風速60mの強風に耐えられる強度が求められ、一枚づつ個別に構造計算して支持材のつなぎ方を決めています。全て形が違うため、かなり時間と手間のかかる作業であった事が分かります。

玉川高島屋S・C本館ファサードのアーケード

場所によって鉄骨支持材の組み方が変わり、調整が大変だったかと思います。

自然と共にある二子玉川というコンセプトのもとファサードが作られたわけですが、将来的にアーケード下部のプラントボックスの植物が成長し、白いアルミ板のアーケードは緑で覆われるようになります。春夏秋冬で咲く花が違うので季節によって外観が変わり、徐々に自然と共存していくことでしょう。

玉川高島屋S・C本館ファサードのアーケード
スポンサーリンク

本館 グランパティオ

玉川高島屋S・C本館グランパティオ

1Fの吹抜け部分にあるグランパティオは、669個もの電球が吊され、プラントが多く設けられた憩いの空間になっています。

ここは建築家・永山祐子氏の設計により2020年に作られました。公園や書斎のような親密な場所としたいという考えのもと、光の群像物語と出会う棚公園のような緑という3つの要素を考え、この空間は作られました。

玉川高島屋S・C本館グランパティオ

たくさんの電球が吊されたこの空間は吹抜け部分に設けられており、光の群像という要素の通りとても明るいため、周囲の通路からグランパティオに出た時の開放感が大きく、思わずここでくつろぎたくなる場所です。

また、公園のような緑という要素の通り、下部にプランターがふんだんに施されており、太陽の光を浴びた自然公園のような空間が形成されています。

玉川高島屋S・C本館グランパティオの棚

柱には、物語と出会う棚という要素のもと、表紙が見えるよう本が置かれており、その下に本の一節が書かれています。この柱自体がアート作品のような本棚になっています。

また、内装や家具に使用している材料は廃材などを再利用するといった、SDGsを意識した取り組みも行われています。

買い物の帰りや休憩に、建物の中央にある公園のようなこの空間で癒やされてみてはいかがでしょう。

スポンサーリンク

本館 ローズガーデン

玉川高島屋S・C本館ローズガーデン

3Fのルーフバルコニー部分には、ローズガーデンがあります。ここも公園のようなスペースになっています。

玉川高島屋S・C本館ローズガーデン

ローズガーデンからは、木目調にデザインされた窓や、蔦で覆われた設備空間が間近で見られます。木目調の窓は色に変化を持たせています。

玉川高島屋S・C本館ローズガーデン

水辺や噴水も多く設置されており、水の音を聞きながら休むことの出来る癒やしの場所になっています。

ローズガーデンはその名の通り、バラの季節になると花が咲き誇ります。

スポンサーリンク

本館 フォレストガーデン

玉川高島屋S・C本館フォレストガーデン

本館屋上にはフォレストガーデンがあります。子供が走り回って遊べる芝生や、大人達が休憩出来る場所などがあります。また、亀やオカリナなど、子供が喜びそうなオブジェも置いてあり、親子連れには最適な場所となっています。

玉川高島屋S・C本館フォレストガーデン
玉川高島屋S・C本館フォレストガーデン

滝のような水辺もあり、ショッピングセンターの屋上でありながら自然空間にいる感覚になります。

スポンサーリンク

南館 PARK&TERRACE OSOTO

玉川高島屋S・C南館 PARK&TERRACE OSOTOの看板

本館のお隣、南館の7階にはPARK&TERRACE OSOTOがあり、本館屋上から連絡通路で直接アクセス出来ます。OSOTOとは面白い名前ですね。

玉川高島屋S・C南館 PARK&TERRACE OSOTO
玉川高島屋S・C南館 PARK&TERRACE OSOTO

この屋上庭園にも、水辺やたくさんのプラントが置かれ、親子連れに最適な憩いの場所となっています。買い物帰りには是非、お外に出てOSOTOに寄るのも良いかと思います。

スポンサーリンク

マロニエコート

玉川高島屋S・Cマロニエコート外観

本館から交差点を挟んで斜め向かい側に、マロニエコートというショッピングセンターがあります。本館のファサード改修よりも少し前の2009年10月に、隈研吾氏の設計によってマロニエコートが建替えられました。

マロニエコートの設計コンセプトは二子玉川の持つ開放感。このコンセプトの通り、店舗はガラス張りで開放感があり、外部はステンレスメッシュを折り曲げて植物をはわせ、自然環境に近い建物が作られました。

玉川高島屋S・Cマロニエコートのステンレスメッシュ
玉川高島屋S・Cマロニエコートのステンレスメッシュ

ステンレスメッシュはトラス構造のように三角形に構成され強度があり、緑の庇となって涼しげな雰囲気を作っています。

玉川高島屋S・Cマロニエコートから外部を見た様子

中央の奥まった階段を上れば緑豊かな場所に入り、向かい側には玉川高島屋系列のアイビーズプレイスの壁面緑化された建物も見え、自然いっぱいの空間が体感出来ます。

玉川高島屋は全体的に緑豊かな空間を作っており、身近に自然に触れられるようになっています。買い物に訪れた際には、このような自然いっぱいの空間に触れてみてはいかがでしょう。

スポンサーリンク

ご利用案内・アクセス

本館マロニエコート
営業時間10:00~19:0010:00~21:00
電話03-3709-311103-3709-2222
住所東京都世田谷区玉川3-17-1東京都世田谷区玉川2-27-5
アクセス東急田園都市線 二子玉川駅 徒歩5分二子玉川駅 徒歩5分

※2021年6月現在の情報です。最新の情報は玉川高島屋の公式サイトでご確認下さい。


参考元:

玉川髙島屋S • C本館ファサード改修 | Kengo Kuma and Associates
玉川 髙島屋S・C マロニエコート | Kengo Kuma and Associates
玉川高島屋S・C本館ファサード | スタイルアリーナ
【コラム:イソマイの建築楽(ケンチクガク)】世田谷編#6 二子玉川と隈研吾① – futakoloco
【コラム:イソマイの建築楽(ケンチクガク)】世田谷編#7 二子玉川と隈研吾② – futakoloco
玉川髙島屋S・C 本館 | 永山祐子建築設計

タイトルとURLをコピーしました