「渋谷PARCO」は屋外広場が魅力の建築

01.現代建築

2021.06.232021.09.06

2019年11月22日にリニューアルオープンした「渋谷PARCO」は、地上から10階まで屋外広場がらせん状に巡る緑の多い建築であり、都心のオアシスとなっています。店舗の他にも、劇場やオフィスも入っている複合施設です。

フロア構成は、地下1階～10階の一部まで渋谷PARCOの商業施設、8階にはPARCO劇場、10階の一部と12～18階はヒューリックのオフィスビルとなっています。そのため、ビル名の正式名称は「渋谷パルコ・ヒューリックビル」です。

ビルの設計は竹中工務店であり、PARCOの商業部分の空間デザインはBenoyが手掛けています。竹中工務店は言わずと知れた国内の大手ゼネコン。Benoyは海外で大型商業施設を多数手がけているデザイン事務所です。

今回はそんな渋谷PARCOの建築を紹介します。

特徴的な外観

公園通りから見た様子です。低層部のPARCOの部分は、白壁のボリュームを積み上げたような外観であり、らせん状に横にスリットが入って屋外広場および屋外街路が作られています。

高層部のヒューリックオフィスの部分は、ガラスカーテンウォールのオフィスビルらしいデザインです。

建物の中央部を南北に抜けられるナカシブ通りという歩行者専用通路があり、スペイン坂の延長線上に設けられています。そして、通りの両サイドには店舗が並んでおり、人々の流れを作っています。

公園通りの反対側から見た様子です。ここからだと高層部分がよく見えます。また、低層部分で一部壁面緑化されています。

建物外周をらせん状に屋外広場や屋外街路が巡っており、地上から10階までを繋いでいます。渋谷の特徴である坂や通りに注目した立体街路です。

4階、8階、10階に屋外広場が設けられており、各広場には植栽が施され、眺めの良い緑のスペースとなっています。

屋外街路はスペイン坂のあたりから始まっています。

4階の屋外広場。

8階の屋外広場。

10階の屋外広場。ROOFTOP PARKというスペースです。10階の屋外広場はとくに広く、約1,390㎡の面積があります。地上から10階までずっと屋外を歩いて登れるので、まるで山を登っているような感覚になります。ただ、さすがに歩くと疲れるので、エレベーターで昇ることは出来ますが。

地面はフローリングで仕上げられ、芝生と樹木をふんだんに施し、ガラスの手すりで囲って渋谷の街を一望出来る心地よい場所です。

10階の広場からはオフィス建屋が間近に見えます。このアングルで見ると、まるでひとつのオフィスビルのようです。10階の広場もその他のオフィスビルのように、公開空地（建築基準法で定められた一般の方に開放された広場）の扱いとなっています。

地下1階はCHAOS KITCHENという飲食店が並ぶエリアになっており、建築家・藤本壮介氏が共有空間をデザインしています。天井と床が鏡面の素材となっており、各店舗が上下に映し出されてより賑やかな空間になっています。

店舗だけでなく、4階にはアートやファッションなどの企画展が行われるPARCO MUSEUM TOKYOや、アニメやゲームなどのギャラリーがあるGALLERY X、8階にはPARCO劇場があり、様々な文化に触れられる場になっています。

渋谷PARCOは、買い物はもちろんのこと、ギャラリー鑑賞やちょっとした休憩などにも利用でき、気軽に訪れられる場所です。

設計	竹中工務店
施工	竹中工務店
敷地面積	5,385.95㎡
建築面積	4,669.63㎡
延床面積	63,856.03㎡
最高高さ	99.90m
階数	地上19階、地下3階
構造	鉄骨鉄筋コンクリート造、一部鉄筋コンクリート造、一部コンクリート充填鋼管構造、一部鉄骨造
工期	2017年5月1日〜2019年10月31日

開館時間	物販：11:00～20:00 飲食：11:30～20:00
電話	03-3464-5111
住所	東京都渋谷区宇田川町15-1
アクセス	各線　渋谷駅　徒歩7分 ※ハチ公から神宮通り（公園通り）を北上し、神南一丁目の信号を左に曲がってしばらく進むルートが分かりやすいです。

※2021年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトでご確認下さい。

参考元：