東京の主要なコンベンションホールであり、有楽町のシンボルでもある「東京国際フォーラム」。
ホール編では、地上広場と、大容量のホールについて紹介しました。
今回は東京国際フォーラムのメイン施設である、ガラス棟について紹介します。東京国際フォーラムに来たときは、この棟が最もインパクトを感じるかと思います。
壮大な内観のガラス棟
東京国際フォーラムの敷地を入ると、路線側の方にひときわ大きなガラス張りの建物に目をひかれます。
ガラス棟をホールから見た外観です。一見、超高層ビルのように見えます。
こちらが、東京駅から来ると見えるガラス棟内観。
こちらが、有楽町駅から来ると見えるガラス棟内観です。
どちらから来ても壮大な内観を目の当たりにする事ができ、始めて見る方にとっては圧倒されるかと思います。
一番下から見える、船底をイメージした鉄骨は必見です。
スロープによって様々な表情が見える
ガラス棟は一階から天井近くまで、スロープだけで上る事が出来ます。スロープを上っていく過程で、ガラス棟を様々な角度から眺める事が出来ます。
スロープの入り口です。東京駅側から来ると、このような入り口があります。ここから、長いガラス棟の旅が始まります。
渡り廊下を下から見た風景。スロープを上がる途中で、横切るように東西を行き来出来ます。
スロープを上っていくと、ガラス棟の様々な表情が見え、西側のスロープにいる間は、内観と地上広場の景色を両方楽しめます。
渡り廊下を上から見るとこんな感じ。鉄骨にガラス張りで作っているので、渡っている途中は、ガラス棟の壮大さをより感じられます。
スロープを上りきると、このような踊り場のような所にたどり着きます。天井がだいぶ近づいてきました。
天井の、船底状のキール鉄骨です。ここまで至近距離で見られると、上ってきた甲斐があったと感じます。
ガラス棟の構造
これだけの大空間なので、構造の面ではやはり結構思考を凝らしています。
引用:東京国際フォーラムガラス棟の建設 工事記録
こちらがガラス棟を上から見た、屋根平面図。横から見た、屋根立面図。横にぶった切った、断面図です。ガラス棟には、以下のような力が作用しています。
緑線のように、上からは屋根の荷重が加わり、2本の大柱で支えられています。そして、船底状の魚骨のようなキール鉄骨を、メインアーチ(赤線)と、サスペンションロッド(青線)で支えています。
さらに断面図を見ると、2本の大柱は、左の会議棟に支えられています。
実際に構造体を見ると、メインアーチとサスペンションロッドは、上の画像のような感じで組まれています。
横から見た方が、メインアーチとサスペンションロッドが見えやすいですね。
またガラス棟は、中腹にある渡り廊下によって、横からの風圧力や地震力に抵抗しています。
渡り廊下を三角形に渡らせており、左の会議棟に接続しているので、建物にかかる力をうまく左の会議棟に流しています。
こちらが渡り廊下の通路です。スロープを登るのが面倒臭くなったら、ここでショートカット出来ますw
(構造に関しては、Archstructure.netさん、書籍「構造デザインマップ 東京」を参考にしています。)
壮大ながらも暖かい空間
ガラス棟は壮大なながらも、低層部分の木製ルーバーによって、静寂で暖かい空間が出来ています。
木製ルーバーが設置された曲線の壁と、外の地上広場の緑によって、自然とうまく調和しており、開放的で心地よい場所となっています。
下から見ると、木製ルーバーも壮大だったりします。
建設概要
設計 | 建築:ラファエルヴィニオリ建築士事務所 構造:構造設計集団 |
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施工 | 大林組、鹿島建設ほか |
竣工 | 1996年 |
敷地面積 | 約27,000㎡ |
延床面積 | 約145,000㎡ |
高さ(ガラス棟) | 約60m |
全長(ガラス棟) | 約207m |
最大幅(ガラス棟) | 約32m |
構造 | 鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造 |
開館日 | 1997年1月10日 |
アクセス
住所 | 東京都千代田区丸の内3-5-1 |
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アクセス | JR線 有楽町駅 徒歩5分 JR線 東京駅 徒歩10分 |
参考元:
・東京国際フォーラム オフィシャルHP
・東京国際フォーラムガラス棟の建設 工事記録
・東京国際フォーラム ガラスホール/ Archstructure.net
・日本の自然・技術・歴史が美しく調和する、丸の内「東京国際フォーラム」 | MATCHA – 訪日外国人観光客向けWebマガジン
・都内最強の究極バブル建築 東京国際フォーラムを探検してみた。 | Heritager.com
・建築マップ「東京国際フォーラム」
・ 構造デザインマップ編集委員会「構造デザインマップ東京」,総合資格学院,2014年6月20日,20P