1964年に開催された東京オリンピックにて、様々な競技の会場となった「駒沢オリンピック公園」。その中でも「陸上競技場」は、公園内で最も規模の大きい施設になります。
駒沢オリンピック公園は最初に、1949年に開催された国民体育大会に向けて、ハンドボールコートとホッケー場が作られ、その後、東京オリンピックに向けて陸上競技場、体育館、記念塔などが作られました。
陸上競技場の設計は村田政真(まさちか)氏。まさに、この陸上競技場が代表作となります。
今回はそんな駒沢オリンピック公園の陸上競技場の建築を紹介します。
花びらのような庇が並んだ建物
陸上競技場は公園内で最も規模が大きいのですが、公園マップを見ると施設の存在感があります。収容人員20,000席にもなる規模です。
陸上用のトラックがあるのですが、サッカーやラグビー用でも使われており、1964年の東京オリンピックではサッカーの予選会場となっています。今でも、Jリーグの試合などで使われています。
陸上競技場の建物の特徴といえば、白い花びらのような庇。キャンチレバー(片持ちの構造)の庇が会場側に開いています。
鉄筋コンクリートで作られた6枚あるこの庇は、お互いがコンクリートでつながってなく、1枚ずつ立っている形になります。地面を掘り下げて建てており、また、客席にもたれかかる形で建っています。よく見ると、客席の端から庇の裏側に向かってコンクリートが伸びています。
客席の方は梁が斜め上空に伸び、その梁を起点に屋根のような構造を作って支えています。この客席下のギザギザした見た目も、この建物の特色といえます。
庇の裏側は骨組のようなものが見え、複雑な形をした構造体をうまく支えています。遠目で見ると高さを感じませんが、近づいてみると以外とダイナミックです。
車椅子でも2階部分まで上がれるよう、スロープが作られています。花びらの庇や客席下のギザギザ以外に、芸術的な構造体がここにもありました。
庇あるのは中央広場側のみ
こちらは陸上競技場の、中央広場とは反対側の部分です。庇がなく客席のみで、中央広場側と比べるとシンプルな見た目です。
客席の構造体はどこも同じですが、花びらの庇があるのは中央広場側の6枚のみなので、庇はおそらく意匠的な意図で作られ、シンボル的な役割が大きいのではないかと思います。
公園マップで見ると、広場を真っ正面にして庇が設置されているのがよく分かります。
広大な中央広場を前に、優雅に建つ陸上競技場。スポーツ競技場としての役割、そして、公園のシンボルの役割として、今も生き続けています。
別記事で、駒沢オリンピック公園の陸上競技場以外も紹介していますので、是非こちらもご覧下さい。
アクセス
電話 | 03-3421-6431(駒沢オリンピック公園管理所) |
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住所 | 東京都世田谷区駒沢公園1-1 |
アクセス | 東急田園都市線 駒沢大学駅 徒歩15分 ※渋谷・恵比寿からすぐ近くまで、東急バスで移動出来ます。 渋谷駅から東急バス(田園調布行き) 駒沢公園東口 下車 恵比寿駅から東急バス(用賀行き) 駒沢公園 下車 |
参考元:
・駒沢オリンピック公園|公園へ行こう!
・様々な建築構造が集う《駒沢オリンピック公園総合運動場》 | Daily Scenery
・「駒沢体育館・駒沢陸上競技場」 | とんとん・にっき2
・松田力「東京建築さんぽマップ」,エクスナレッジ,2016年1月1日,213P