青山通り沿いの青山学院大学の向かいに建つ、ピラミッド型の形が特徴の超高層ビル「国際連合大学」は、国際的な研究機関および大学院の教育機関であり、事務所や会議場をもつ複合ビルとなっており、1992年に竣工しました。
設計は丹下健三氏。東京都庁や国立代々木競技場などを設計し、建築界のノーベル賞であるプリツカー賞を受賞するなど、世界的に活躍してきた建築家です。
今回はそんな国際連合大学の建築を紹介します。
建物の特徴
敷地は東京都から無償で提供されており、約118億円の建設費は文部省(現在の文部科学省)が負担して国際連合大学に無償貸与しています。
正面から向かって、両側を3層ごとに1フレーム分セットバックしており、シンメトリーなピラミッド型のビルとなっています。周囲の建物と比べると、国連らしくとても威厳のある外観です。
てっぺんおよび段ごとの端の部分に、正三角形の装飾があり城のようにも見え、それがより威厳さのあるファサード(正面デザイン)を形成しています。
外観の格子状のデザインが、同じく丹下氏が設計した東京都庁の外観とよく似ています。また、外壁は花崗岩が打ち込まれた炭素繊維補強コンクリートであり、鉄骨鉄筋コンクリート造であるものの、石造りのような外壁になっています。
側面には3層分の大きな開口部の前に、逆Y字型のブレース(補強材)を入れており、スーパーフレーム架構と言われる強固な構造体としています。
中央入口の両サイドはピロティとなっており、このような中庭に続いています。中庭の中央には、ピラミッド型のガラス張りのトップライトがあり、地下階を照らします。
建物本体を初め、ガラス張りのトップライトなど、あらゆる箇所に正四角形と正三角形の組み合わせを基調とした装飾が施されています。
裏側はこうなっている
国際連合大学の裏側、青山通りの反対側には、ガラス張りのトーキョー・ワンダーサイト青山が建っており、大学の建物と隣接しています。
トーキョー・ワンダーサイト青山は、芸術や音楽などの若手アーティストの国際的な創造・制作拠点としている施設です。
側面は国際連合大学の外壁デザインと合わせていますが、正面は一面ガラス張りとなっています。芸術文化を扱っているだけあって、少しお洒落さを意識していそうな外観です。
地下部分はこのように緑のあるサンクンガーデンがあり、国際連合大学の厳格なデザインとはうって変わってリラックス出来る空間です。サンクンガーデンとは、地盤よりも低い位置に作られた広場・庭園となります。
国際連合大学に訪れる機会は滅多にないかと思いますが、建物外観を一目見るだけでも、その威厳さに圧倒させられます。
建築概要
設計 | 丹下健三 |
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敷地面積 | 7,043.59㎡ |
建築面積 | 2,857.70㎡ |
延床面積 | 21,301.30㎡ |
高さ | 65.00m |
階数 | 地上14階、地下1階 |
構造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 |
工期 | 1992年3月 |
アクセス
電話 | 03-5467-1212 |
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住所 | 東京都渋谷区神宮前5-53-70 |
アクセス | 東京メトロ 表参道駅 徒歩7分 各線 渋谷駅 徒歩10分 |
参考元:
・ホーム – 国連大学
・国際連合大学本部施設 | 丹下都市建築設計
・国際連合大学本部施設~丹下健三の建築: 木と建築への旅~高橋正勝のブログ
・国連大学ビル: FABRICA
・トーキョー・ワンダーサイト青山 | 角田訓也のホームページ