浅草寺の雷門の向かい側に建つ、観光案内施設「浅草文化観光センター」は、観光案内所、会議室、多目的ホール、展示室といった多様な機能を、わずか326㎡の敷地に集結しています。
決して広くない敷地の中に、これだけの機能を持たせながら、建物内部は広い空間が作られています。
2012年にはグッドデザイン賞を受賞し、認められたデザインとなっています。
設計は、新国立競技場や高輪ゲートウェイ駅などを手がけた隈研吾氏です。
今回はそんな浅草観光文化センターの建築の特徴とデザインの魅力を紹介します。
外観は木造住宅を積み重ねたようなデザイン
外観は、伝統的な切妻屋根の木造住宅を7つ積み重ねたようなデザインとなっており、各階に機能性と独立性を持たせた、複合的な観光センターです。
木造住宅のようなデザインなので浅草の街とマッチしています。
各階の屋根の庇と、外観の木製ルーバーは、日射を防ぐ役割を果たします。この木製ルーバーは上下2点を支持させているため、自由な間隔でルーバーを設置しています。
ルーバーの間隔が広く取られた部分からは中の様子が垣間見え、気軽に入りやすい施設です。
2018年に東京ステーションギャラリーで行われた隈研吾建築の展示会にて、浅草文化観光センターの模型が展示されていました。
各階の屋根形状や木製ルーバーの間隔などが、忠実に再現されています。
浅草文化観光センターは、構造的には鉄骨のラーメン構造であるものの、断面計画やファサード(前面)を工夫することで、このような外観となっています。
内観は他のビルにはない珍しい断面計画
ロビーにある施設案内には以下のような、建物の形をモチーフにした案内があります。
B1F~2Fおよび6~8Fが、一般の人が入れる階となりますが、3~5Fは会議室や管理室のため一般の人は入れません。
エレベーターにもこのように、建物の形をモチーフにした案内が貼られています。
外部で見える屋根の勾配は、そのまま内部の天井に反映しており、内部から見ても木造住宅が積み重なったような空間になっています。
こちらはロビーを見上げた様子です。2つの屋根勾配が見える、広々とした空間となっています。それぞれのフロアには勾配のついた天井に木製ルーバーが付加されています。
各フロアにて、このように斜め屋根を積み上げることで、これまでのビル建築にない断面が形成されています。
また斜め屋根を積み重ねているので、屋根と上階の床との間に三角形の隙間が生まれます。その隙間を設備スペースとして有効利用することで、天井の高さを確保することができ、狭い敷地でもフロア空間を大きく見せるように工夫しています。
天井と外観の木製ルーバーによって、鉄骨構造でありながら木質な空間を作り出しています。
2階に上がっていく階段の壁には、折り紙のように板が貼られており、正面から見ると市松模様に見え、和を感じる空間となっています。
階段の手すりのガラスにもストライプ状に茶色の縦線が描かれ、木製ルーバーの色合いやデザインと相まっています。
8階には無料の展望テラスがあり、東京スカイツリーや浅草の街を一望することができます。展望テラスから見える浅草寺は絶景です。
浅草に訪れた際には、浅草寺の他、浅草文化観光センターにも立ち寄ってみる事をオススメいたします。
建築概要
設計 | 建築:隈研吾建築都市設計事務所 構造:牧野構造計画 |
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施工 | フジタ、大雄特定 共同企業体 |
敷地面積 | 326.23㎡ |
延床面積 | 2,159.52㎡ |
最高高さ | 38.9m |
構造 | 鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造 |
階段 | 地上8階、地下1階 |
竣工 | 2012年2月 |
ご利用案内・アクセス
利用時間 | 9:00〜18:00 |
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休館日 | 年中無休 |
電話 | 03-3842-5566 |
住所 | 東京都台東区雷門2-18-9 |
アクセス | 東武伊勢崎線 浅草駅 徒歩5分 東京メトロ銀座線 浅草駅 出口2から徒歩1分 都営浅草線 浅草駅 A4出口から徒歩2分 つくばエクスプレス 浅草駅 A1出口から徒歩10分 |
※2021年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトでご確認下さい。
参考元:
・浅草文化観光センター 台東区ホームページ
・浅草文化観光センター | Architecture | Kengo Kuma and Associates
・構造デザインマップ編集委員会「構造デザインマップ東京」,総合資格学院,2014年6月20日,133P
・浅草文化観光センター | Space Design Concierge
・浅草文化観光センター – Wikipedia