「東京国立博物館 庭園・茶室」建築の見どころ

03.歴史的建築
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上野公園にある、多くの重要文化財が展示された「東京国立博物館」。その中の博物館内の敷地奥にある北側の庭園には5棟の茶室があり、それぞれ趣のある落ち着いた雰囲気となっています。

こちらが庭園の案内図です。池を取り囲むように、2~3畳の小規模なものから、10畳ある大規模なものまであり、茶会や会議、コンサートなどが行われています。茶室でお茶をすすりながら会議をすると、のんびりとした雰囲気になりそうですね。

庭園には、茶室の他にも五十塔、燈籠などが置かれており、茶室建築とよく合っています。

今回はそんな東京国立博物館 庭園・茶室の建築の見どころを紹介します。

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春草廬(しゅんそうろ)

東側の庭園入口から入って最初に出てくるのが、春草廬(しゅんそうろ)とよばれる茶室になります。

上野の森の中にひっそりと佇むこの建物は、もともと江戸時代に河村瑞賢(かわむら ずいけん)が摂津淀川改修工事の休憩のために建てられました。

摂津淀川 → 大阪 → 横浜の三渓園 → 松永耳庵(まつなが じあん)の柳瀬荘を経て、1959年には現在の場所に移築されています。

東京国立博物館春草廬

入母屋(いりもや)屋根の妻部分に掲げられた扁額(へんがく)に書かれた文字はかなり達筆なので、建物名を知らなければ何て書いてあるんだろう?という感じになりそうですが、こちらは「春草廬」と書かれており、三渓園から柳瀬荘へ移築した際に、原三渓から松永耳庵へ贈られたものとなります。

屋根は入母屋屋根の茅葺きとなり、間取りは5畳と3畳の座敷がある、小規模な建物となります。

枯れ葉が乗ったか茅葺き屋根や、窓にある木製の格子、入口の丸柱などが味わい深い建築です。

周辺に縁側もあり、自然の空気と触れながらお茶をするのもまた良いものです。

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転合庵(てんごうあん)

小堀遠州(こぼり えんしゅう)が、桂宮から茶入「於大名(おだいみょう)」を賜った際、その茶入を披露するために京都伏見の六地蔵に建てた茶室になります。

安土桃山時代から江戸時代あたりに建てられたものと思われますが、茶器を披露するためにわざわざ建てられたとあって、この時代は茶器がどれだけ重要な存在であったかを思い知らされます。

京都伏見の六地蔵 → 京都大原の寂光院(じゃっこういん) → 東京麻布区霞町 に移築され、1963年には現在の場所に移築されています。

屋根は瓦葺きの入母屋屋根となり、間取りは、台目向切とよばれる炉がある部屋2畳と、4畳半の席がある部屋があります。

後ろ側から見ると、一部茅葺きとなっており素朴な感じです。

転合庵から本館の方向を見た風景です。池とその周りを囲む自然が見え、茶会をするのにふさわしい場所ですね。

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六窓庵(ろくそうあん)

この建物はもともと、1648~1652に奈良の興福寺慈眼院(じげんいん)に建てられた茶室です。

1875年に博物館が購入して、解体した部材を船で郵送中に難破する事故がありましたが、幸い部材は無事であり、1877年に移築が完了しました。

入母屋屋根の茅葺きとなっており、間取りは、台目出炉とよばれる炉がある3畳の部屋と、控え室2畳、居間3畳、待合室3畳となっています。

六窓庵の庭園を竹の仕切りで囲っています。石で作られた庭園へのアプローチに味があります。

庭園にはししおどしが設置されていました。

外には1畳の腰掛けに、数寄屋建築の特徴である小さい入口が趣を感じます。
写真右の建物の四角窓と、入口上の丸窓には竹格子が張られており、味のある空間を作り出します。

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応挙館(おうきょかん)

もともと愛知県の天台宗寺院の明眼院(みょうげんいん)の書院として、1742年に建てられました。

明眼院 → 東京品川の益田孝邸内を経て、1933年に現在の場所に移築されました。

立派な入母屋屋根の瓦葺きであり、間取りは18畳の居間が2室、間口15m・奥行9mの、大規模な茶室となっています。

屋根には神社仏閣のように、妻部分には懸魚(げぎょ)とよばれる装飾があり、屋根の四隅が反り返っています。

四方を廻り廊下で巡らせているのも、この建物の特徴です。

私が訪れた時には閉まっていたため写真がありませんが、室内には円山応挙(まるやま おうきょ)が描いた墨画や、松竹梅を描いた床張付があるそうです。

東京国立博物館応挙館

庭園に設置された燈篭と、応挙館の外観が相まって、趣のある風景となっています。

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九条館(くじょうかん)

もともと京都御所内の九条邸にあった建物であり、東京赤坂の九条邸を経て、1934年に現在の場所に移築されました。

屋根は瓦葺きの寄棟造りであり、その他の4棟は入母屋屋根なのですが、この九条館だけは屋根の形状が違います。
間取りは、10畳の居室が2室の大規模な茶室です。この茶室もまた廻り廊下があります。日本建築にはやはり縁側は欠かせないものですね。

丸い電灯により明かりを灯すと、暖かい雰囲気のある空間になります。天井は割と高めで、部屋の大きさも10畳あるので、広々としています。

床の間の壁には、楼閣山水図(ろうかくさんすいず)が描かれており、欄間と言われる長押(なげし。襖の上の梁)と天井の間の部分には、カリンの板に藤花菱の透かし彫りがあり、和の美しさを一層引き立てています。

九条館へのアプローチも独特であり、円形にかたどった石を並べています。

九条館の近くの花壇には、TNM(Tokyo National Museum)の文字が木杭で作られていました。こういった作品を発見するのもまた面白いですね。

別記事で、東京国立博物館の庭園・茶室以外も紹介していますので、是非こちらもご覧下さい。

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ご利用案内・アクセス

開館時間9:30~17:00(入館は16:30まで)
無料観覧日国際博物館の日(5月18日)※月曜の場合は翌日
敬老の日(9月第3月曜日)
文化の日(11月3日)
休館日月曜日(祝日の場合は翌平日に休館)、年末年始
その他休館あり。詳細は公式サイトをご覧下さい。
入館料大人   :1,000円
大学生  :500円
高学生以下:無料
※特別展の場合は別料金となります。詳細は公式サイトをご覧下さい。
電話利用案内や展示・催し物に関するお問い合わせ:050-5541-8600
その他のお問い合わせ:03-3822-1111
住所東京都台東区上野公園13-9
アクセスJR線 上野駅 公園口より徒歩10分
JR線 鶯谷駅 南口より徒歩10分
東京メトロ銀座線・日比谷線 上野駅 徒歩15分
東京メトロ千代田線 根津駅 徒歩15分
京成電鉄 京成上野駅 徒歩15分

※2021年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトでご確認下さい。

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参考元:

東京国立博物館 – トーハク
台目出炉/向切/隅炉 | 茶の湯おぼえがき

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