渋谷駅周辺の再開発事業として、2019年11月1日に開業した超高層ビルの「渋谷スクランブルスクエア」は、渋谷駅と直結している交通や街とつながった複合施設であり、とくに屋上展望施設のSHIBUYA SKYが見どころとなっています。
地下2階~地上14階は、200店舗以上が入っている合計面積約32,000㎡の商業施設。15階は、SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)と呼ばれる産業交流施設。17~45階は、貸床⾯積約73,000㎡のサイバーエージェントやミクシィなどの大企業が入っているオフィス。45~46階は、展望施設のSHIBUYA SKYというフロア構成となっています。
引用:NIKKEN SEKKEI LTD | EXPERIENCE, INTEGRATED | © NIKKEN SEKKEI LTD
渋谷スクランブルスクエアのプロジェクトは2期に分かれており、第1期はSHIBUYA SKYがある東棟が2019年に完成しており、第2期は中央棟と西棟が2027年に完成予定となっています。デザインアーキテクトは、東棟は日建設計と隈研吾建築都市設計事務所、中央棟と西棟はSANAA事務所が手がけています。
今回はそんな渋谷スクランブルスクエアの建築を紹介します。
ビル外観
渋谷スクランブルスクエアの東棟は、地上47階建て、高さ約230mあり、渋谷の街のシンボルとなっています。
複雑な渋谷駅を解消するために、アーバン・コアと呼ばれる地下2階から地上3階まで縦導線をスムーズにする空間を整備し、公共交通機関と商業施設を直結して利便性を高めています。
こちらは低層部の外観。この中にアーバン・コアが収められています。うねって流れるような有機的なデザインになっています。
こちらは低層部外観の模型です。この低層部は隈研吾建築都市設計事務所がデザインしています。(模型は東京ステーションギャラリーで開催されていた「くまのもの展」の展示品。)
うねって流れる曲線を形成していた、カーテンウォールのアルミのマリオン(縦枠材)のモックアップです。(こちらも「くまのもの展」の展示品。)奥行を250mm・400mm・550mmの3パターン作り、3次元的な流れを感じられるようにしています。
うねる曲線の反対側の様子。こちらは、細かいアルミルーバーが施されており、遠目で見ると有機的な模様になっています。
高層部は日建設計がデザインしています。周辺は中層ビルが建ち並んでいるため、そのスケール感に合わせるように縦スリットをランダムに入れて、ガラスカーテンウォールを分節させています。また、縦スリットは換気設備も兼ねています。
夜になるとまた違った表情を見せます。角の部分がライトアップされ、各フロアの光と相まって夜景を作り出しています。
ハチ公・スクランブル交差点から見た様子です。低層部の曲線マリオン上部から、空に向かって縦線の光が広がっています。これは、ふもとの渋谷の街のエネルギーを、垂直に延びる超高層に繋ぎ合わせて放出するイメージでデザインされています。
SHIBUYA SKY
SKY GATE(エレベーター)
SHIBUYA SKYは、14階~45階の移行空間であるSKY GATE、屋外展望空間のSKY STAGE、屋内展望回廊のSKY GALLERYで構成されています。上画像は、SKY GATEのエレベーターの天井に表示されるデジタル動画であり、エレベーター上昇に伴って上昇するアニメーションがパフォーマンスされるので、屋上展望への期待感が高まります。
SKY STAGE(屋上)
SKY GATEのエレベーターを上がると、地上約230mの屋外展望空間であるSKY STAGEの風景が広がります。
最上階の展望空間には、エスカレーターおよび階段で上っていきます。
エスカレーターはガラス張りに面しているので、広大な風景を感じながら上昇していきます。
SKY STAGEの風景です。中央にはピラミッド型の木質的な階段があり、登った先はヘリポートになっています。
SKY STAGEの平面図。展望空間の面積としては日本最大級の約2,500㎡を有しています。
コーナー部分は、床が徐々に白くなっていくデザインなので、上空の爽快感をより感じられます。
ソファやテーブルが置いてあるスペースがあり、座ってくつろぎながら外の風景を眺められます。
渋谷スクランブルスクエアから見た渋谷ストリーム。
メタリックなカウンターキッチンのようなものがありました。イベント時などはドリンクを飲みながら景色を楽しむ事が出来るのではないかと思います。
屋上のヘリポートを歩ける超高層ビルは滅多にありません。
ヘリが来た時の待避場所が用意されています。
渋谷スクランブルスクエアのロゴオブジェ。
こちらはクラウドハンモック。寝ながら空を眺めることが出来ます。
エレベーターのガラスの下部デザインが雰囲気に合っています。
設備空間にはライトや太陽光発電システムなどがあります。
こちらは展望コンパス。世界地図が描かれており、どの方面にどの国があるかといった地球スケールで展望が出来ます。
SKY GALLERY(46階屋内展望)
屋外展望のSKY STAGEの1フロア下、46階には屋内展望回廊のSKY GALLERYがあります。
SKY GALLERYの平面図。この中にはRhizomatiksによるデジタルコンテンツがいくつかあります。
こちらは時空の川。時の流れを表しています。
壁・床・天井は黒で覆われており、より外の風景が映えます。通路の途中にある柱がミラー張りになっているので、広々とした空間になっています。
コーナー部分から見た風景。
柱にはどんなランドマークが見えるかのサインがあります。
こちらはデータの景色。人口や交通量など様々なデータによって景色を生み出しています。
こちらは視点の窓。様々な時間帯の景色が映し出されます。
こちらはミュージック・バー。世界的なインテリアデザイナーのトム・ディクソンのチームが手がけており、モダンでオシャレな空間です。眺望とともに音楽や飲食が楽しめられる場所です。
照明や家具などが落ち着きのあるデザインであり、室内展望空間の雰囲気とマッチしています。
渋谷スクランブルスクエアは、たくさんの人々が行き交う渋谷駅の直上で困難な工事を乗り越え、2019年に第1期の東棟が完成しました。2027年には線路をまたいで第2期の中央棟・西棟が開業される予定です。渋谷の街は急激に変貌し続けており、今後の展開が楽しみです。
建築概要
設計 | 建築設計:渋谷駅周辺整備計画共同企業体(日建設計、東急設計コンサルタント、JR東日本建築設計、メトロ開発) デザインアーキテクト:<第1期>日建設計、隈研吾建築都市設計事務所 <第2期>SANAA事務所 |
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施工 | 渋谷駅街区東棟新築工事共同企業体(東急建設・大成建設) |
敷地面積 | 15,275.55㎡ |
建築面積 | 18,216.49㎡ |
延床面積 | 約181,000㎡ |
高さ | 229.70m |
階数 | 地上47階、地下7階 |
構造 | 鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造 |
工期 | 2014年6月〜2019年8月 |
SHIBUYA SKYのご利用案内・アクセス
チケット料金
大人(18歳以上) | 中・高校生 | 小学生 | 幼児(3~5歳) | 2歳以下 | |
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WEBチケット | 1,800円 | 1,400円 | 900円 | 500円 | 無料 |
当日窓口チケット | 2,000円 | 1,600円 | 1,000円 | 600円 | 無料 |
WEBチケット (障がい者料金) | 900円 | 700円 | 450円 | 250円 | 無料 |
当日窓口チケット (障がい者料金) | 1,000円 | 800円 | 500円 | 300円 | 無料 |
営業時間
開館時間 | 10:00~20:00(入館は19:00まで) |
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休館日 | 無休 |
アクセス
住所 | 東京都渋谷区渋谷2-24-12 |
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アクセス | 各線 渋谷駅 直結 |
※2021年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトでご確認下さい。
参考元:
・SHIBUYA SCRAMBLE SQUARE 公式サイト
・渋谷スクランブルスクエア – japan-architects.com
・渋谷スクランブルスクエア | 日建設計コンストラクション・マネジメント
・NIKKEN SEKKEI LTD | EXPERIENCE, INTEGRATED