和館
岩崎邸庭園には、洋館に付随した和館と、その周囲に日本庭園があります。
和館はかつて、14室もの居室をもつ広大な屋敷でしたが、昭和44(1969)年に敷地内に最高裁判所の旧法研修所が建てられた影響で、大部分が取り壊されました。現存する部屋は、広間、次之間、三之間、待合室の4室となります。
和館は主に、岩崎家の普段の生活空間および冠婚葬祭に利用されていました。
洋館と和館は渡り廊下で繋がっており、洋館から廊下を渡るとガラリと雰囲気が変わり、気品の高い緊張感のある空間から、和風の落ち着いた空間に入ります。
和館の広間は書院造りとなっており、各部材には現在では入手困難な梅や杉などの大木で作られています。
和館の襖などには、明治の日本画家として知られる橋本雅邦(がほう)が下絵を描いたとされています。春夏秋冬を描いた絵は、より和の雰囲気を醸し出しています。
襖の取っ手や、長押(なげし。襖の上の横架材。)の釘隠しや、欄間(らんま。長押と天井の間の部分。)の装飾など、三菱のアイコンである菱紋をモチーフにしたものが随所に施されています。