「上野毛駅」には用事が無い。と思っている方はもったいない!

01.現代建築
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環状8号線と上野毛通りが交差する場所に建つ、東急大井町線の「上野毛駅」は、なかなか観光で降りる事は無いかと思いますが、周辺にカフェやランチに最適なお店があったり、五島美術館という国宝や重要文化財が所蔵されている施設があります。
そして何よりも上野毛駅舎が見どころであり、表参道ヒルズや21_21 DESIGN SIGHTなどを設計した、安藤忠雄氏が設計を手がけています。

2011年に新しく駅が建て替えられ、上野毛の街のシンボルとなり、もし、アド街の上野毛編をやったら、五島美術館と1位2位を争うほどの名所だと思っています。
今回はそんな、安藤忠雄氏が作り上げた上野毛駅を紹介していきましょう。

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今ではすっかり上野毛のシンボル

駅のバリアフリー化と、大井町線の急行通過線の新設のため、上野毛駅の建て替え工事計画はスタートしました。
もともと上野毛通りの西側にあった旧駅舎を、道路を挟んで東側に新築移転する計画で考えられていましたが、住民からは西側にも駅舎を残してほしい、駐輪場を作ってほしいといった要望があり、その声をもとに西側に小規模な駅舎を新築し、東側には駐輪場を備えた駅舎を新築する計画となりました。
ちなみに改装前の上野毛駅はこんな感じ。

引用:KTT : 最近の東急線の話題 1999年 その1 © 1999,2001,2003 KTT Railway Information

そして以下が現在の上野毛駅

新しい駅舎は、保育所や学習塾、店舗、駐輪場があります。
道路幅20mの上野毛通りを挟んで東西2つの駅舎を、全長120mの大屋根が道路をまたいで覆っています。
穴が開いているのは、人々が集まる場を表したものだそうです。

側面はガラスカーテンウォールが続いており格好いいですね。
そのガラスカーテンウォールから、地下ホームに光が指し込んでいます。

上から光が差し込む形は、安藤忠雄建築の特徴であります。

改札付近もガラスカーテンウォールによって明るい空間となっています。

エレベーターからプラットフォームに降りていく部分は、両側に壁が建ち、一部分から光が差し込む、安藤忠雄建築らしい空間です。

引用:東急大井町線上野毛駅 | aran.or.jp © ASSOCIATION OF RAILWAY ARCHITECTS CO,LTD.

屋上は芝生となっており、保育所の庭となっています。

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安藤忠雄氏が考える設計コンセプト

大屋根を作る計画は最初からあったわけではありません。
必要な規模、施設などをあらかた決めてから、安藤忠雄氏に相談を持ちかけたそうです。
安藤氏からは日本の都市の中心は駅。生活を発展させる都市機能も駅が併せ持つ必要があると語っており、駅舎も上野毛のシンボルとなるようなものを考えたそうです。
駅の切符売り場近くの壁に設計コンセプトが書かれていましたので、ご紹介します。

壁にはパース図も描かれています。

東急大井町線と上野毛通りが交差する地点であり、交通の要所であることが表されています。
人が行き交う重要な地点であることがよく分かります。
続いて図面を見ていきましょう。
まずは断面図から。

国立新美術館にて安藤忠雄展が開催されていた時の、スタンプラリーイベントにて断面図が貼られていました。
大屋根の穴の半径は4m。この穴から道路に光が差し込みます。

続いて平面図。
2Fのテナントには学習塾と幼稚園が入っており、電車で通勤する親にとっては、かなり便利な場所と言えるでしょう。

そして立面図。
側面はガラス張りが120mに渡って続いていて、見た目がシャープであり、大屋根の穴と共にシンボリックなデザインであると思います。

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改修工事をきっかけに交通網を改善

プラットフォームの上部を上野毛通りが横切る立地に、道路を挟んで建てられた駅舎と、駅前のバス停広場をまるごと屋根で覆っている形となっていますが、もともとバス停は駅から100m以上離れた位置にありました。

駅を改修する事をきっかけにバス停を改札前に持ってきて、地域の顔となる駅前広場を創造することで、バスを待つ人々を大屋根によって雨や直射日光から守っています。

引用:東急大井町線上野毛駅 | aran.or.jp © ASSOCIATION OF RAILWAY ARCHITECTS CO,LTD.

これからも上野毛の街の交通拠点、そしてシンボルとして、上野毛駅は人々の生活を支えています。

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建築概要

設計・監理安藤忠雄建築研究所+東京急行電鉄+大建設計
施工鹿島・東急建設共同企業体
敷地面積2,175.09㎡
建築面積1,214.70㎡
延床面積2,587.82㎡
構造鉄骨造
階数地上2階、地下1階
工期2007年6月~2011年5月
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アクセス

住所東京都世田谷区上野毛1-26-6
アクセス東急大井町線 上野毛駅


参考元:

KTT : 最近の東急線の話題 1999年 その1
aran.or.jp | 一般社団法人 鉄道建築協会
作品詳細|バックナンバー|新建築 Online
東急・上野毛駅、公道をまたぐ大屋根が駅を覆う|日経アーキテクチュア
上野毛駅改良工事は最初から安藤忠雄プロジェクトだったのか | ネットに書かれていないことを綴る

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