1964年に開催された東京オリンピックにて、様々な競技の会場となった「駒沢オリンピック公園」。公園内にある「屋内球技場」は2017年にリニューアルされ、特徴的な構造のアーチ架構をもった建築となっています。
屋内球技場の設計は梓設計。東京国際空港(羽田空港)国際線旅客ターミナルや埼玉スタジアムなどを手がけている企業です。
今回はそんな駒沢オリンピック公園の屋内球技場を紹介します。
屋内球技場の構造の特徴
屋内球技場の建物は、下部のアリーナなどが入っている鉄筋コンクリート構造と、上部の鉄骨構造の鋼管アーチ架構で構成されているのが特徴です。
上部の鋼管アーチ架構は、長辺約74m、短編約52m、高さ約20mあり、直径1,100mmにもなる鋼管を2本使って弧を描くように上部に設置され、その2本の鋼管アーチ架構を、H鋼と水平ブレスでつないでいます。水平ブレスとは、鉄骨構造でよく見る斜めに配された細い鋼部材であり、引張力を負担します。そして、鋼管アーチ架構から吊りケーブルにて、下部建物のアリーナ部分の屋根を吊っています。
鋼管アーチ架構自身は、下部の鉄筋コンクリート構造とピボット支承にてつながっています。ピボット支承とは、アーチ架構側は凹面状に、下部建物側は凸面状に、それぞれ球面仕上げにして組み合わせることで全方向に回転可能なものなので、この鋼管アーチ架構のように斜めに鋼管がつながる場合でも、うまく支える事が出来ます。
庇の裏側は木製ルーバーが配されており、H鋼の構造体が見えています。
駒沢通り側から見た屋内球技場です。それぞれの縦長の窓枠が斜めに開けられており、単調にならない動きを持たせた見た目になっています。
駒沢通りの反対側から見た屋内球技場です。第一球技場(屋外球技場)と隣接しており、コンクリート壁で囲まれています。
入口は建物の両側にあり、入口部分の壁はコンクリートブロックがスキマを開けて積まれており、軽やかなデザインになっています。また、入口内部にも光が十分に入ります。
2017年にオープンした屋内球技場。駒沢オリンピック公園に訪れた際には、鋼管アーチ架構が特徴の屋内球技場の構造も楽しんでいただければと思います。
別記事で、駒沢オリンピック公園の屋内球技場以外も紹介していますので、是非こちらもご覧下さい。
建築概要
設計 | 梓設計 |
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施工 | 錢高組・TSUCHIYA・共立建設JV |
建築面積 | 約5,224㎡ |
延床面積 | 約9,716㎡ |
階数 | 地上2階、地下1階 |
構造 | 鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造 |
工期 | 2017年 |
アクセス
電話 | 03-3421-6431(駒沢オリンピック公園管理所) |
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住所 | 東京都世田谷区駒沢公園1-1 |
アクセス | 東急田園都市線 駒沢大学駅 徒歩15分 ※渋谷・恵比寿からすぐ近くまで、東急バスで移動出来ます。 渋谷駅から東急バス(田園調布行き) 駒沢公園東口 下車 恵比寿駅から東急バス(用賀行き) 駒沢公園 下車 |
参考元:
・駒沢オリンピック公園|公園へ行こう!
・様々な建築構造が集う《駒沢オリンピック公園総合運動場》 | Daily Scenery
・駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場|ZENITAKA Topics|錢高組
・水平ブレースとは?1分でわかる意味、役割、剛床との関係、位置
・株式会社 川金コアテック